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【エンタメ日記】『沈黙の艦隊』『アシュミット・ホテル』『アンデッドガール・マーダーファルス』ほか 2023/09/29~10/08


2023/09/29(金)

【邦画新作】『沈黙の艦隊』 吉野耕平監督
プロデューサーも務める主演・大沢たかおの薄笑いを浮かべた顔を極端なライトニングによって滑稽なほど不気味に見せ、それだけで作品の空気感を支配している。自身の役者としての長所が何であるか完璧に解っているのであろう。潜水艦の中もしくは会議室という人間の動きが制限された舞台で国家間の戦闘という緊張感を保つには、抑制しつつもある程度の戯画化された微妙なバランスの演技が必要だが、いずれもが巧みにこなしていた。特に総理大臣役の笹野高史による、不甲斐なさを極めた役柄作りは白眉(最初、誰が演じているのか本当に気づかなかった)。ソナー手を演じるユースケ・サンタマリアと前原滉のキャラの対比によって潜水艦ごとの性格を表現しているのも、常套の手段だが効果的(ユースケは、ちょっとやり過ぎていたが)。一方、本作は日本のAmazonプライムビデオでは初の劇場映画という点でも注目されている。続編の発表など一切行っていないにもかかわらず、話の途中で終わらせる暴挙を当たり前に行なっているのは、そのためか。同じく長編漫画を原作とした『キングダム』も『東京卍リベンジャーズ』も、続編発表前の第1弾では、一応の物語上の結末は用意されていたというのに。これは映画の文法を意図的に壊しており、ある意味では宣戦布告である。Amazonから映画館への。


2023/09/30(土)

【雑記】
謎の頭痛で午前中は動けず。
ふるさと納税の還元率が10月から変わるらしいので、慌ててふるさとにふるさと納税する。ソーセージ、レトルトカレー、リンゴジュースなどを細々と。

2023/10/01(日)

【競馬】スプリンターステークス
単勝10倍超えのテイエムスパータとモズメイメイに賭けるもあえなく撃沈。1着のママコチャは素晴らしかった。

【みんはや】フリーマッチ「ノンジャンル031」
正解者0の難問が多くなってしまい反省。バレーボールの「パイプ攻撃」とか、オスマントルコの「ミッレト制」とか、自分の得意ではないジャンルだと、難易度が判断できない。問題と解答は下記リンクにあります。


2023/10/04(水)

【テレビアニメ】『アンデッドガール・マーダーファルス』
青崎有吾による小説シリーズをアニメ化。首から下のない「鳥籠探偵」が、19世紀末の主にヨーロッパを転々と旅しながら、吸血鬼や人狼など怪物の絡んだ事件を解決する怪奇ミステリ。怪盗ルパンやらオペラ座の怪人やら切り裂きジャックやら、実在もしくは有名作品の登場人物が美形の姿で登場する。アニメとしてはバトルシーンに重きが置いており、そちらは力が入っているが、一方で謎解きは探偵の演説によってサラッと済ませている模様。ミステリそのものは原作準拠なのか結構面白い(特に最終回で明かされるやるせない種明かし)のだが、軽く流すのは映像作品としては仕方ないとの判断か。ただそのせいで、シャーロック・ホームズがやられっぱなしの無能にされていたのは何とも。


2023/10/05(木)

【ミステリ小説】『アミュレット・ホテル』 方丈貴恵 著
「ホテルに損害を与えない」「ホテルの敷地内で障害・殺人事件を起こさない」という2つのルールさえ守れば何をしてもいい犯罪者専門の高級ホテルで、それでも殺人事件が起き、専属の「ホテル探偵」が謎を解く連作短編集。特殊な状況はトリックのための要素として逆算的に付加される、特殊設定ミステリの基本形。犯罪者だらけの割にはライトに仕上がっており、どちらかというとキャラクター小説の佳作という感じ。ただ、最初の2篇のラストでは、全く必要のないとってつけたような読者向けの叙述トリックが付随している。このような、余計なものをついつい足して無駄に複雑にしてしまうのは、方丈貴恵の手癖だと思う。


2023/10/06(金)

【邦画新作アニメ】『ガールズ&パンツァー 最終章 第4話』 水島努監督
ご存知、高校生の少女たちが戦車に乗って試合を行うシリーズの第4弾。雪原を舞台にしたことで、前作では希薄だった「戦車がそんな動きできるわけないだろ」シーンが連続し、それだけで満足。集中して凝視しないと何が起きているのか解らないくらい展開が早いのは、それだけファンを信頼しているからか。なお、後半の試合は本シリーズでは珍しく、物語上はどちらが勝つのか予測がつかない。あと、試合をちゃんと終わらせてくれたのは本当に良かった。試合の途中で終わって、また何年も待たされるとフラストレーションが・・・。

【邦画新作】『アンダーカレント』 今泉力哉監督
夫が突然失踪した女性が経営する銭湯に、住み込みで働きたいという男が現れる。実は語っていた生い立ちが嘘ばかりだった夫と、謎めいた男、そして主人公の女性自身の抱えるそれぞれの秘密が明らかになるにつれ、「他者を解る」とはどういうことかを模索していく。今泉監督お得意の固定カメラによる計算された人物配置は今回も素晴らしいが、いつもより切り返しが多い印象。その中でも、例えば画面の端で見切れているかのような位置でカラオケを熱唱するリリー・フランキーなどに、過去作にはない異質さを出している。なお、今泉作品には珍しいヘビーな展開が後半にある。

【邦画新作】『白鍵と黒鍵の間に』 冨永昌敬監督
下記はてなブログにて長文レビュー書きました。


2023/10/08(日)

【雑記】
ふるさと納税の返礼品が一挙に全て届く。賞味期限が近いものばかりなので、しばらくはこれらで食いつなぐ。賞味期限が1ヶ月のレトルトカレーって初めてかも。

【競馬】毎日王冠
3強と言われた中からジャスティンカフェを選ぶも展開が悪かった。しかしそれ以上に展開の悪いソングライン(3着)の末脚は何なんだ。

【みんはや】フリーマッチ「時事問題2023/09/24~10/07」
ノーベル賞からの出題が1問だけだったと、後で気づいた。
問題と解答は下記リンクにあります。


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【お知らせ】

ここ1年の間に新作公開された日本映画95本のレビューを書いた同人誌「邦画の値打ち2023」を、以下の場所で頒布します。
・2023/11/03(金・祝)「おもしろ同人誌バザール神保町」
・2023/11/11(土)「文学フリマ東京」


既刊は、以下で通信販売しています。


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