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三つ子の魂百までも(23)


23

僕達家族との食事に満足してくれたみたいで、
修君は帰りの車中、鼻歌を歌うほど気分良く運転していた。

だが、修君に聞いて後で分かったのだが、鼻歌を歌っていたのは、眠気を模様さ無い様にしていたと言う事だった。

そんな事とは、露知らず
僕は、食べ過ぎて眠く、修君と話す事も無く、鬱ら鬱らしていた。

気になるのは、修君が三浦さんにどの様な感情を抱いているかだ。
片想いは分かっているが、完全に諦めたかどうかを聞いていない。

僕は二人のキューピットになりたい。

三浦さんが修君の本当の姿を知ったら、きっと好きになってくれるはずだ。彼は優しく、本当に良い性格であり、僕と違って
頭も良いし、慎重で言葉使いも丁寧で、几帳面だし、双子なのに
僕とは全然違う。

此の様に、修君を分析すると、僕って何?と自己嫌悪になった。

双子でありながら、これだけ違うのは、育った環境のせいだ!
と、さっきまでは、育ての親に感謝していたのに、今度は手のひらを返す気持ちなってしまう、そういう所が、僕の単純で悪いところであるが、長所でもあるかも知れない?
と、鬱ら鬱らしながら、自問自答していた。

鬱ら鬱らしている間に、僕のアパートに着いた。
時刻は午後の10:30だった。

修君と別れ、僕は一人ぼっちで部屋に入った。

恋人の一人もいない様では、結婚など出来ない。
僕の友達は結婚して、子供もいる人もいるのに、と何故か考えてしまった。
賑やかな家族から離れ、一人ぼっちになったので、センチメンタルになってしまったみたいだ。

携帯のラインをみたら、何件か入っていた。

見ると、三浦さんからも入っている。
この前、電話番号を教えあったから、自動的にラインが繋がったみたいだ。

三浦さんのラインには、此の様な事が書いてあった。
<ラインが出来ると便利です。お友達にして下さいね。(╹◡╹)>

と、女の人らしい可愛い絵文字、スタンプもあった。

直ぐに、返信のスタンプを送っておいた。

次のラインを見ると、裕美さんだった。
訳の分からない、オッサンスタンプの連続で最後は 
<分かっているだろうな! >
と脅迫めいた事が書いてある。

さっぱりわからない。
裕美さんの冗談は高度で難解だ。
明日会った時に、どの様な意味か質問しようと思った。

後のラインは全く無視で良い。

今度、三浦さんに会って、修君の事を伝えよう。
修君の良い所をアピールしようと思いたち
直ぐにラインを打った。

<今度、お暇な時にお会い出来ませんか?>

しばらくすると、

<私は、いつでも良いです。でも杉田さんは忙しいのではありませんか?>

とコメントが返ってきた。 僕は間髪をいれずに返信した。

<忙しいかと云うと忙しくは無いのですが、急に忙しくなるかも知れません。明日でも良いです。少しの時間でお会いしたいです。>

三浦さんは、僕のコメントを待っていたみたいに、直ぐに既読の表示が付いた。

<じゃ、明日仕事が終わったら連絡しますので、宜しくお願いします>
と可愛いスタンプ付きのコメントだった。

同じ女性でありながら、
裕美さんとは、大違いだ!と僕は思ったが、
口に出すことは出来ない。
理由は、パワハラが怖いので口には出せないです。



美乃は、嬉しいさと同時に驚きを隠せずにいた。
好きな男性からの突然のお誘い。
美乃の人生の中で一度も無かった事である。

服装はどうしようか?
美乃はいつもは、地味目の服を着ているのだが、
心の片隅に、派手目な服装で派手な化粧をしてみたいと言う感情は、いつも心に抱いていた。

どの様なお客様であっても、思い切った化粧を施すのに、自分には実行できない苛立たしさを、いつも感じていた。

明日は、違う私をアピールしたい。
と、想いながらも、今までの私と違うイメージを抱かれて
嫌われるかも知れない。という臆病な気持ちが優先していた。

(明日は無難にいつもの格好でお会いしよう。)
と美乃は心では決めていた。








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