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私は誰⁉️(11)




妹と連れ添い街を歩いた。
「街の風景を見ていたら、何か思い出すかも知れない。それと、私を知っている人と出会うかも知れない。」と
妹が言うので、外に出てみた。

ここが、(私が以前住んでいた街か)と、思いながら何とか思い出そうとしていたが、思い出せなかった。

犬を散歩させている女性を見かけた。
何犬だろう?何故か女性に目がいかず、犬の方に目が行った。
女性が、太った不美人だから興味が無いのか、分からないが、犬の方に興味を持った。

「可愛い犬ですね。何という種類の犬ですか?」
と、太った女性に聞いてみた。

「私、散歩に頼まれただけなので、犬の種類まで知らないの。
でも、可愛いでしょ。彼が飼っているの。」
と犬を、抱き上げて僕に見せてくれた。

犬は、僕の事を、ジーーと見つめながら、何か言った。
甘えた様に、擦り付いてくる。何故?

「名前は何というのですか?」

「あのーー、私の名前でしょうか?それとも、此の犬の名前?」

もちろん犬の名前を聞いたのだが、どうしよう。女性の名前聞かないと失礼になるのだろうか?と思っていた時に助け船が出た。

「もちろん、此のワンちゃんの名前ですよ。」と妹が言った。

「此の犬の、名前は、カルメンです。彼が名付けました。」
と、女は彼氏が居るのを、強調した。

カルメンは、僕を見ている。知っているかの様にジーーと見てる。

僕は犬好きだったのかも知れない。
犬に見つめらていても、苦にならない。

女性はカルメンを抱いたまま、去って行った。

僕は、カルメンと別れた印象が強く残った。不思議だと思った。
もしかすると、僕は犬を飼って居たのかも知れない。
だが、あの部屋には、犬を飼った痕跡が無い。

そんな事を考えながら、道を歩いて行くと、、、、。

突然、呼び止められる様に声をかけられた。
見ると、三十ぐらいの女性で、まあまあの美人さんである。
さっきの女性とは大違い。

「水原君じゃない?。お久しぶり。デート❤️してるの」
と馴れ馴れしい。
結構な知り合いだろうか?でも僕の彼女では無さそう。
妹を知らないみたいだ。

ここはチャンスだ。僕の事が分かるかも知れない。
妹が偽物か本物か分かる、と瞬時に感じた。

「私、ケイコと言います。水原の妹です。彼女ではありません」
と、キッパリと否定した。その、言い方に焦りを感じた。何故?

「あら、水原君。可愛い妹さん居るのね。そんな事は聞いていなかったけど」

少し疑いながら、嫉妬深く言った。様に、僕には聞こえた。

すると妹が、
「兄は、事故に遭い記憶を無くしてしまったのです。
兄の事で知っている事が有れば、教えていただけませんか?
お願いします」
僕の事を思ってくれたのか?
本当の妹の様に彼女に尋ねた。

私は一体、誰⁉️ 妹の正体は?




この小説、「私は誰⁉️」は記憶を無くした青年の話です。
読者の皆さん、想像してみて下さい。突然自分の記憶を無くした時、
一体誰の言葉を信じて良いのか?
しかも、自分の命が狙われているかも知れない。
また、何らかの理由で生かされているのかも知れない。
と、感じた時どの様な行動を取るのが正解かを!
此の主人公は、貴方自身かも知れません。
尚、此の小説は、前著の「騙した女・騙された女」の続編にも
なっています。

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