見出し画像

人間になった宇宙人(10)



訝し想いで、雅子は尋ねた

「愛を探すって何?言っている事が解らないですけど」

「私達の星では愛という言葉が無いんです。親子の関係も無いし
お互いに心がよみ取る事ができるので、何て言うかお互がお互いの立場になって考える事ができるので争いが無いんです。」

「恋愛はする事は無いのですか?」
と、雅子の声は自然と大きくなる

「恋愛というか、地球の様に男女の区別が無いのです。」

「男女の区別が無いってどう言う事?」
と、更に雅子の音量が上がる
「・・・説明するのは、難しい😓のですが、地球で言えば霊魂みたいな物で存在が曖昧なのです。でも個別化はされています。」



「・・・レンコンみたいで、個別化されてる?
人がレンコンみたいな姿なの?」
と、真顔で聞いてくる。

「レンコンでは無いですよ!霊魂です。」
と、ムッとしたのか、ゴアの口調は強い。

「霊魂?❗️  みんな おばけなの?」

と、気持ち悪そうな表情を浮かべている。

「おばけでは無いです!霊魂みたいな物ですよ。」
と、苛立ちを隠せ無い。

「う〜ん、何だかよく解らないけど・・・・。
佐竹君、
もしかして貴方、猫の言葉が解るのでは無いですか?
聖ちゃんから、私の事を聞いたのでは?」

ゴアは言葉に詰まった。
……宇宙人の存在を簡単に信じる事は出来ないだろう。
ましてや、宇宙人を目の前にして会話しているのだ!
しかし猫と会話できる人間も居ないと想うのだが!
でも、雅子に理解されなくても、真実を伝えよう……

ゴアはコップを取り静かに水を飲んだ。
別に喉が渇いていた訳では無い。
少しの間が欲しかった。
そして、ゴアが静かに語り出した。雅子の瞳をじっと見つめて。

「雅子さんは、僕の言葉は信じる事は出来ないと想います。
でも、これは事実です。私は宇宙人です。
もうすぐ、M52星に帰らなければなりません。
だから・・・・」
と、言ったところで、ゴアは気づいた!
………雅子さんは、僕を猫の聖だとは気づいて無かった!
では、あの優しい眼差しは何?
聖を見つめる瞳と同じ眼差しを私に送ってくれている。
雅子さんは僕を愛してくれてるの?………

「だから、何なの?教えてよ。すごく気になるよ〜」
と、ねだるかの様に雅子が言ってくる。



雅子のその表情は、幼い子供が甘えているかの様だ。

「雅子さんは、私の事を愛していますね。
猫の聖ちゃんを愛するみたいに。」
と、何故か尋問するかの様に、ゴアが言った。

強制告白を余儀なくさせられたのか、雅子は素直に
「佐竹君の事が好きです❤️」
と、いとも簡単に本心を告げてしまった。

「そうですか!私の事を愛してくれたのですね。
聖ちゃんみたいに。
もっとも、聖ちゃんも私ですが」
と、勝ち誇ったみたいにゴアが言う。

……ここからが大事な所である。雅子さんは私に対してどの様に
想っているのかを検証しなければ、私の懐いている感情が
愛かどうかを判別出来ない。……

「雅子さん、貴女は私をどの様に愛しているのですか?」
と、すごい質問が飛んできた。
「それと聖ちゃんに対する愛を述べて下さい。」
まるで、面接官の様に冷静に聞いてくる。

雅子は言葉に詰まったが、素直に自分の気持ちを言おうと決意を固めた。

「聖ちゃんはね、私の心を癒してくれた。
あの当時は本当に辛かったの。聖ちゃんが居なかったら、私、自殺したかも知れない。聖ちゃんはいつも私のそばにいて、慰めてくれた。」
と、想い出を語る様に雅子は話をする。

「それが、雅子さんにとっての聖ちゃんに対する愛ですか?
癒してくれたから、愛なのですか?」

「そうじゃ無いの。何って言ったら良いのかな。
側に居てくれないと駄目な人。と言うか、ずっと一緒にいて欲しい人。
聖ちゃんの場合は
人では無くて、猫だったけど。」

「なるほど、ずっと一緒に居たいと思える人が愛なのですね」
と、確認するかの様に冷静に言った。

「次に佐竹君に対しての愛を教えて下さい」

「今思ったのだけど、佐竹君は聖ちゃんの時から私の側にいたのね。だから佐竹君、私と初めて会った時『また会えたね。』
って言ったんだね。
私、解らなかったの、あの意味が?
何故、『また会えたね』って言われたのか。
でも、今 判ったわ。佐竹君ずっと私の事を想っていてくれたのね。
嬉しいわ。私は佐竹君の事好きよ。
初めて会った時から、好きだったよ。
何故か解らなかったけど、今 判ったわ。
あの時の聖ちゃんが佐竹君だったからなのね。」

熱い想いのこもった言葉である。そして更に言った。

「佐竹君。愛を知りたいって言っていたけど、
佐竹君、私の事を星に帰ってからも気になっていたのでしょう?
どうなの?答えなさい!」
と、逆に尋問する雅子である。

「気になっていました。貴女の事が、貴女の身体の事も。
貴女が幸せになっているかどうかをいつも気にしてました。」

「そう、それが愛です。相手の事を無償で想える事。
遠くからでも想い続ける事。関心を懐き続ける事。
これが愛です。解りますか?これが愛なのよ」

「だとしたら、私は最初から❤️を知っていたのですか?」

「そうよ、最初から私を愛していたのよ」
と、今度は雅子が勝ち誇ったみたいに誇らし気に言った。

「お互い愛し合っていたのですね。知らんかったけど」

「そうよ、お互いの気持ちが通じあっていたのよ。」
それは、宇宙の空間をも飛び越え超遠距離恋愛であった。
愛する気持ちは、空間をも超える。

見つめ合う瞳。微笑み合う二人。愛を確かめ合う二人。
二人は円満に結ばれていった・・・

って事は、無い!

https://note.com/yagami12345/n/n48a6be31d898

いいなと思ったら応援しよう!