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ある死刑囚(3)

3

「えっ、運の悪い霊だって!
そいつがそんな目に私をあわせたのか!
誰だそいつは?」
と、叫んでみても今となっては虚しいだけだ。

「その霊はもういません。
貴方が死刑の執行と聞いて、
役目は終わったみたいで居なくなりましたよ。
また他の所に行くみたいです。」

「何と、言う事だ!また私の様な可哀想な
人を作るのか?・・・・」
私は言葉に詰まった。
…私の様な不幸な人を出したくは無い。
それなのに、私に取り憑いた霊はまたもや同じ事をする。そんな霊は許せない。……

と、何故か正義の感情が湧く。
さっきまでは、復讐に燃えていたのに不思議だ。

「取り憑くのは、簡単では無いと言ったね」
と、私は天使に聞いた。
「言いました。取り憑くのはそう簡単では無いです。
何故なら先に取り憑いている霊が有るからです。
俗に言う守護霊ですね。」

「守護霊って本当にいるのですか?」
と、私は怪訝に思って聞いた。
「守護しているか?悪さをしているか?は
解りませんが、取り憑いていますよ。
でも全ての人に取り憑いている訳では無いです。」

「では、霊が居ない人もいるのですね。
何故いる人と、居ない人に別れるのですか?」

「それは、・・・・。私の口からは言えません。」
と、何故か言葉を濁す天使だった。

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