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(続)三つ子の魂百までも21


21

「どこが、怪しいと言われても、具体的には言えんよ。それに、今警察が捜査中だし、・・・・。わしの長年の勘かな?」
と伊東は、明確に言うのを控えて言った。
だが、僕は伊東の此の様に曖昧にする意味が判らなかった。
(此の話は刑事に秘密の話と聞いていたが、僕は忘れていた。)
正直者の私は、裕美さんに

「実は、新美さんの大学にあった遺品が、誰かに持ち去られたかの様に、何も無いのです。怪しいでしょう?
その一番の容疑者が佐伯って言う人に思えるのです。
新美さんが大学で使っていた物を持ち出す事が出来るのは、
大学の関係者以外ないででしょう?」

すると、裕美さんは瞑想する様に目線を下に向け、そしてしばらくして、
お言葉を私達に告げた。
静かに厳かに。

「私には見えました。佐伯が新美さんのパソコンを盗んでいる姿が。
ちゃんと、見えました」

と、裕美は、霊能者のように迷走した言葉を発してきた。

「何で判るんだ?いい加減な事を言うな!」
と、伊東さんは、叔父さんとして裕美さんを叱った。

「だから、言ったでしょう。私には霊感があるって」
と、聞いた時の伊東さんは(馬鹿に付ける薬は無い)
と言っている様な、呆れ顔で裕美さんを見ていた。

私も同じ顔で見ていた、かも知れない。
しかし私は伊東さんの様に、裕美さんを蔑むのでは無く、
驚きの表情だったと想う。

何故なら、私は「新美さんの遺品は無くなった」と伝えたが、
パソコンが無くなったとは、伝えていない!
背筋が凍る様な恐怖を感じた。



その頃、警察では二人の刑事が、防犯カメラの映像を確認していた。
殺された新美の研究室と事務室から新美が取り付けたと思われる、
防犯カメラがあったのだ。
盗撮器を盗撮するかの様に研究室の防犯カメラは取り付けてあった。
新美は知っていたのだった。何者かが新美を盗撮している事を。
そして、その何者かを知る為に防犯カメラを取り付けたのだった。

その防犯カメラに映っていたものは、・・・・・!

その事については、後ほどに。

(作者も勿体ぶるのか?と想われた読者は、正解です。
でも、前回出版された小説「ある科学者の憂鬱」を読まれた方ならお判りになると思います。)


(続)三つ子の魂百までも をお読みいただきありがとうございます。
ビューの数も私の小説にしては多く、スキを頂き感謝しております。
出来る事で有りましたら、コメントを頂ければ幸いです。

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