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初めてのプロポーズ(500文字の小説)

私は今日、初めてのお見合いをする。
最近では、死語となっているお見合いである。婚活パーティーには何度も参加したが、目立たない私を選んでくれる人はいなかった。
だから、お見合いに賭けたのだ。
お見合いは、紹介者も二人をよく知っていて、家柄も調べてくれているはずだ!
婚活パーティーだと、どの様な人と出会うか判ら無い。もしかすると結婚詐欺に会うかも知れない。危険だ!
その様に最近思う様になってきたのは、
自分に対する言い訳かも知れない。

お互い緊張の面持ちで、私は彼女に向かいあった。
彼女は、綺麗な黒髪で凛々しく澄んだ瞳である。黒の着物を難なく着こなし、ある意味玄人にも見える。

私は一瞬で恋に堕ちた。
私はどの様に見られているのだろう?

綺麗に髪を剃ってきたつもりだけど、剃り落としなどないかな と思っていた。

会話も弾み、食事も終わり二人で公園に出かけた。
ここには、多くの若い恋人達がいるみたいで、仲良く手を繋いでいる。

私も彼女の手を繋いだ。
彼女は少し照れながら私を見た。

見つめ合う瞳と瞳。
私はこの人なら一生連れ添う事ができると!
そう運命を感じたのだ。

私は最初で最後のプロポーズをする事を決めた。

私の米寿のお祝いの前に!





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