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テキーラを飲みほして

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星漫画家さんの漫画を、小説にしました。 原作から私なりにアレンジしました。 両方お読み頂ければ幸いです。
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#スカイレストラン

テキーラを飲みほして(6)

テキーラを飲みほして(6)

美容院を出たアスカは、彼の待つスカイレストランに向かう。
時刻は午後7時30分を過ぎていた。
まだ充分余裕があるわ。
こちらが先に入って待っていると、
何だか、惨めな感じがする。
5分ほど遅れて行こう。
と、姑息な想いがよぎる中、
アスカはタクシーに乗りこんだ。

AKグランドホテルこのホテルの8階に
スカイレストランがある。
想い出のスカイレストラン。

………この場所で、私は貴方のプロポーズを

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テキーラを飲みほして(7)

テキーラを飲みほして(7)

「乾杯しよう、・・」
と、彼は目を緩ませながらグラスを差し出す。

「何に乾杯するの?」
と、皮肉めいた事を言うアスカ。

「何って、まあいいじゃないか。
先ずは乾杯しよう。」

二人はワイングラスの酒を一気に飲み干した。
次々と運ばれて来る料理を食べながら、

少しずつ会話が進むが
過去の思い出話には一切触れずにいた。
それは彼にとっても、辛い過去であったからであろう。
世間話や現在のことなど、

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テキーラを飲みほして(8)

テキーラを飲みほして(8)

ママを送り出した後、僕達はお店で歓談していた。
「此処に、アスカの隠してある酒があるんじゃよ。」
と言いながら、洋酒が並ぶ中から一つの瓶を選び出す爺さん。
「これは年代物のテキーラだ。
アスカ用の酒じやよ。これを飲もうよ」

「いいんですか?ママに黙ってそんな物飲んでも」
と、心配になって僕は聞いた。

「黙っていれば解らんじゃろ。
そんな事気にしていたら、大きな男には成れんぞ」

と、訳の解らな

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