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恵本裕子(作)+小林まこと(絵)『JJM女子柔道部物語⑬』

恵本裕子(作)+小林まこと(絵)『JJM女子柔道部物語⑬』(講談社)。電子書籍版はこちら↓

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 アジア大会代表を決める「全日本女子柔道体重別選手権」に出場した61kg以下級の神楽もえと72kg以下級の藤堂美穂。準々決勝まで勝ち上がって意気揚々と活躍する二人。しかしその先の壁は厚かった。その活躍が認められて、二人は全日本柔道連盟ジュニア強化選手に抜擢され、神楽もえには「さわやかホープ賞」が授与された。当事者には強化選手の意味があまりわかっていなかったが、一般選手から見て雲の上の存在にまで上ってきていた。筑波山大学での強化合宿に参加した後は、いよいよ高校生活の総決算とも呼ぶべき「高校総体北海道大会」。ここでカムイ南高校が目標としてきたライバル極大高校を団体戦で破ることが、えもたちの宿願であった。特にえもの親友となった笹沢千津との決着を着ける日がそこに迫っていた。

 北海道の有望選手から、日本のホープにのし上がってきた神楽えも。僅か1年7ヶ月での進境は衆目の注視するところとなった。特に体幹の強さは強豪選手も警戒する域に達していた。躍進するカムイ南高校女子柔道部だったが、男子は2回戦で敗退。しかし顧問の花山先生は、男子たちが乱取りの相手を務めてくれてこその女子柔道部の活躍であることを説く。また高校総体を前にしたチームワークの乱れについても、花山先生は和を持ってこその団体戦であることを諭す。若さと才能故の躍進であるが、高校生のクラブ活動はプロスポーツではなく教育の一環である。そして健全な教育の先に、世界に通用するスポーツマンシップが育ってゆくのだろう。今回の巻末には「JJM女子柔道部物語ができるまで」「小林まこと特別の一冊」などの特別企画が組まれていることもお楽しみ。

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