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中国からのalan帰国公演

中国に帰ったalanが、三年ぶりのコンサートを新宿山野ホールで開いた。チベットフェイクを取り入れた抜群の歌唱力と、四川省美人谷に産まれた愛くるしい美貌。エイベックスからの日本デビューは衝撃的だった。映画「レッド・クリフ」の主題歌など、メディアミックスの売り出しも多く、前途洋々だった。どの曲も素晴らしかったが、いまひとつヒット曲には恵まれなかった。人見記念講堂のコンサートで、夢破れて中国に帰ることを、彼女がステージから自らの口でわれわれに伝えた日のショックは忘れられない。その時私は、どんなに実力があっても運もなければ、この世界では生きてゆけないことを痛感したのだった。
 千人くらいの会場は満席。夜の本公演のチケットは取れずに、昼の追加公演にようやく参加出来た。華やかだった日本時代とは違って、パイプ椅子も並べたインディーズ風のコンサートである。それでも本当にalanが、音楽が好きな人が集まったんだなあと思う。どちらかといえば、客席には年配層が多く、女性客もかなりいる。中国でalanがどのような活動をしていたかも映像で紹介され、中国で今歌っている曲も披露された。天から聴こえてくる高い声は変わらない。しかし、なかなか乗らない客席。alanも聴衆も、三年間のブランクに、お互いが緊張していたことに気がついた。そしてalanが聴衆に席を立つことを要求した時に、客席の緊張が解けていった。もう二度と生の声を聴くことは出来ないと思っていたので、コンサートの間中は、ずっと涙が止まらなかった。コンサート終了後の握手会は、誰も先に帰ろうとしなかった。実物のalanは、美しくはあるが、思ったほど体格も小さくなく、生命感あふれる普通の女性だった。2014年
http://alan-web.jp/index.php

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