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雨穴「変な家」は変な本📕

雨穴「変な家」(飛鳥新社)。電子書籍版はこちら↓
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 知人が購入を検討している都内の中古一軒家。 開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に 「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せると、 この家は、 そこかしこに 「奇妙な違和感」が存在すると言う。不可解な間取りの真相とは!? 突如消えた元住人は一体何者⁉︎ (ここまでが公式解説)。
 飛鳥新社が世に送り出した大ベストセラー。しかも映画化もされて、続編も好評。『これだけ売れているのなら、一度は読んでおかねば』と手に取る。読んでみて『ずいぶん変わったミステリー』という印象。ずっと家の見取図を見せられて、推理の経過を聞かされてゆく。途中からミステリーというより、荒唐無稽なホラー小説に転じてゆく。犯行動機や行状はハチャメチャだ。読んだ連れ合いによれば「読書というより、インターネットの謎解きを見せられているようだった」。そういう意味では、非常に視覚的な文章である。著者の雨穴がウェブライターであり、YouTuberであることが、これまでになかったような進行を示しているのだろう。もちろん西村京太郎や梓林太郎などのミステリーにも、犯行現場である家屋や列車の図示はあった。しかし本書では、見取図の連続が「違和感のある」文章に説得力と臨場感を加えている。だからタイトルの「変な家」は、この作品が実は「変な本」であることを表している。

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