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天羽恵「もゆる椿」

天羽恵「もゆる椿」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
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 貧乏旗本の次男坊とあれば肩身も狭い。身を立てようとした剣術の腕は上がったものの、血🩸を見ると卒倒してしまう気弱な性分。二十歳の真木誠二郎を道場で見かけた裏目付の佐野兵衛。佐野に取り立てられた誠二郎。早速に与えられた御役目は、尊王攘夷の親玉へ送る刺客の京都への道連れ。実際に現れた刺客とは、何と十二歳の少女・美津だった。
 あどけなさが残る少女は、家族を皆殺しにされた後、「里」で佐野に調教された殺人マシーンだった。誠二郎は大食漢の娘に呆れつつも、その実力にリスペクトを抱く。以心伝心、美津も誠二郎に死んだ兄の面影を見つけて和み甘える。美津に真剣の使い方を教わりながら、誠二郎は次第に腕を上げてゆく。しかし隠密行動であったはずの二人の道中は、何者かに密告されていた。夜叉の心に芽生える恋、労わる中で育まれた愛情。いつのまにか心を寄せ合う二人。男は愛することで強くなる。女は愛されることで花開く。幕末の動乱の中、果たして修羅の道行きの結末はいかに。


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