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勝目梓「家族会議」

勝目梓「家族会議」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓
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 還暦後の男の生活はロクでもない。(好きなことばではないが)キョウヨウ(今日用)のない人、キョウイク(今日行く処)のない人、濡れ落ち葉、ED、定年離婚、孤独死などなど。そんな人生の黄昏における男の性生活や夫婦家族関係にスポットを当てた七つの艶話。頭は禿げ、腹は弛み、竿は首を垂れても、生きてきた年季と年の功で、世のため人のため、お役に立てる時もある。バイオレンス作家が、意表を突いた軽妙洒脱な初老賛歌。
1️⃣姉妹
川村信次・65歳は、62歳になった下半身付随の妻直子を、トイレから風呂に至るまで介助の毎日。直子の2つ下の妹・好子が、信次の苦手な家事を手伝いに来るようになった。そこで直子から信次に思わぬ提案が。
2️⃣沈黙
兼業ボクサーだった修理工の田村弘・64歳。父への反抗心からボクサーとなった息子の健一・22歳は、タイトルマッチで事故死。「事故は貴方の責任」と責める妻の君枝・54歳は酒びたりで、一言も口をきかなくなる。
3️⃣遺骨
「お登美」のママ・菅原富子の死。警察への連絡を引き受けた俺・68歳は、一度だけママと寝ていた。冷淡な息子が貯金通帳だけ回収して引き揚げた後、常連客で葬儀。盛り上がった清めの席で明らかになったママの意外な事実。
4️⃣ダブルベッド
米田夫妻に用意された、娘の結婚式のホテルの部屋はダブルベッドだった。妻・景子が12年前に犯した不倫での離婚以来の再会。二人っきりになった部屋で知る妻のその後。65歳の夫と5つ下の妻が久々に共にする寝所。
5️⃣家族会議
長男の健一郎・25歳が正月の団欒でゲイであることをカミングアウト。ショックを受ける酒井家だが、一方で姉の美由紀・29歳も不倫生活。父の清一が医師に禁じられていた酒を呷り始めたのをきっかけに、家族全員が飲み始める。
6️⃣毒
西岡清美・40歳は、小学5年生の息子・昇を持つシングルマザー。学校で虐められて家出した昇を、隣駅で拾った老人・奥田勇夫。昇は奥田に教わった手管で、虐めっ子にやり返す。抗議に行った清美だが、奥田の吐く毒に癒される。
7️⃣遺産
三田村伸也の39歳の誕生日に、父親の栄治は72歳で急死。栄治は暴力団の組長だったが、解散して足を洗った。妻を亡くした後、出入りのあった三人目の女性である純子を内縁の妻とした。そんな栄治が残した仰天の遺書。

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