【イベントレポート】HAKATA BOKOMEN!開発秘話&試食会
こんにちは!九州のマーケティングや地域づくりに興味がある方が集まるコミュニティ「九州マーケティングサロン”YADORIBI”」です!
2024年7月19日、福岡市博多区の「The Company キャナルシティ博多前店」にてYADORIBI主催のイベント「HAKATA BOKOMEN! 開発秘話&試食会」が開催されました。
今回は、YADORIBI初となるイベントの内容や試食会の様子をお届けします!
魚食の未来を変える、新感覚麺「HAKATA BOKOMEN!」
創業明治36年の老舗練り物屋である株式会社博水さんが、食のブランディングのプロ・PREOさんとタッグを組み、 魚のすり身でできたまったく新しい麺「HAKATA BOKOMEN!」を開発しました。
その商品は応援購入サイトMakuakeにて、公開から約1週間で目標金額の265%を達成。世間からの熱烈な支持を受けています。
魚離れが進む現代において、「魚を主菜から主食へ」と新たな挑戦を掲げたこの商品は地域の食文化を守り、未来に繋ぐ一歩です。
イベント概要
登壇者紹介
江越 雄大 氏
株式会社博水 専務取締役
家業の練り物製造会社・博水に入社後、製造、商品開発、営業、イベント出店、通販サイト、SNS運用などを幅広く担当。業界の衰退を感じながらも、日本の伝統食を繋いでいくため、練り物の可能性を追求している。
古庄 伸吾 氏
PREO inc.代表 / クリエイティブディレクター
現在主に特産品の商品企画・開発・ブランディング・デザインなど全国各地のプロジェクトに関わる。2024年6月、ご当地ブランド開発プロジェクト「GOTORCH(ゴトーチ)」をリリース。
小宮 大輔(司会進行)
九州マーケティングサロン"YADORIBI" 発起人 / illo合同会社 代表社員
2018年に地域おこし協力隊としてUターンし、2020年10月に「illo(アイロ)合同会社」を設立。「地域のアイロを切り拓く」をミッションに、各地でマーケティングやデザインによる伴走支援にあたっている。
イベント開催前の事前準備の様子
では、前置きはこのくらいにして、当日の様子をお届けします!
会場である「The Company キャナルシティ博多前店」に続々と集まるYADORIBIメンバー。
椅子や受付場所の確保、オンライン配信の設置など、各々が工夫をしながら参加者に楽しんでもらう準備を行いました。
トークセッションスタート
改めてHAKATA BOKOMEN!とは
はじめに「HAKATA BOKOMEN!」について改めて説明してもらいました。
HAKATA BOKOMEN!は、魚のすり身を使った麺です。スープ一体型でレンチンで簡単に食べられる冷凍麺になっています。材料となるエソは小骨が多く食べにくいのですが、タンパク質が多く、脂質も少ない健康的な魚なんだそうです。まさに「練り物になるために生まれてきた魚」と言って過言ではありません。
HAKATA BOKOMEN!のスープは福岡っぽい3種類。
博多とんこつ
あごだし柚子胡椒
明太子クリーム
商品開発のきっかけは?
HAKATA BOKOMEN!の魅力を知ったところで、次に商品開発のきっかけについてお話していただきました。
HAKATA BOKOMEN!の商品開発は、2023年4月ごろに始まりました。きっかけは福岡市の補助金制度。この制度は、福岡の水産物を使った福岡らしい商品開発を支援するものでした。
プロジェクトの発端は、江越さんが古庄さんに「ご飯のおかずになるような商品を開発したい」という趣旨の熱意あるメッセージを送ったことでした。
古庄さんはすぐに反応し、数日後には熊本から博多に赴いて江越さんとお会いになったそうです。初回の打ち合わせでは傾聴することに徹する古庄さん。そこで江越さんから会社の現状やこれまでの経験、想いを熱くぶつけられ、そのときに「なんかすごい若いし、情熱的だし。これいいな。うまくいくな」とプロジェクトの成功を確信したそうです。
まさかの麺?!最初の提案から江越さんが困惑??
「ご飯のおかずになるような商品を開発したい」というオファーから始まったプロジェクト。
しかし、古庄さんからの最初の提案は予想外にも「麺」でした。思わぬ角度からの提案に、江越さんは困惑し、頭が真っ白になったそうです。
なぜ「おかず」から「麺」への転換が起こったのでしょうか。
その理由は江越さんのビジョン(想い)から逆算して考えられて生まれました。江越さんは人口減少と高齢化、食文化の変化などから「減っている魚食を増やしたい」というビジョンを持っていました。
しかし、おかずになる練り物を開発しても、魚食の増加にはつながらないと古庄さんは考えたそうです。
そこで練り物を主食にしたらいいのではという発想の転換がありました。練り物を主食にすることで、より効果的に魚食を増やせるのではないか。主食として最適なのは「麺」です。これが「麺でいきましょう」という提案につながったそうです。
この開発の過程で、HAKATA BOKOMEN!の『魚を「主菜」から「主食」へ』というコンセプトが生まれたんですね。
開発秘話
商品開発のきっかけやコンセプト決定までの流れを聞いたあとに、開発の裏話を語っていただきました。
最初は江越さんのほうでレシピなどを考えていたらしいのですが、今回は外部の方を入れようということでCHEF-1グランプリ(シェフワングランプリ)などでもご活躍されている「丸山千里」さんにスープ開発をお願いしたそうです。
開発を進めていると「ちぎれやすい」「ボソボソしている」などさまざまな課題がありました。お二人で試行錯誤しながら課題を乗り越え、納得して丸山さんに麺を送ったそうです。
しかし、オンラインMTGで丸山さんから言われたことが
「美味しくない......私には無理かも......」
この時、さすがの江越さんも心が折れかけたそうです。
数え切れないほどの試作を重ねた結果、ついに魔法の配合を発見。魚のすり身にデンプンを加えることで、ブチブチちぎれない美味しい麺ができあがりました。
丸山さんのOKをゲットして、次はスープ作り。意外にもスープはすんなり決まったそうです。
開発の苦労話を聞くと、完成した HAKATA BOKOMEN! がより一層美味しく感じられそうです。
コンセプトの重要性
すぐにスープの方向性が決まった理由には、商品開発で重要なコンセプトが関係していました。
今回の企画コンセプトは『魚を「主菜」から、「主食」へ』です。古庄さんは、ブランディングとは「価値を正しく伝え、つながる」こと。価値=コンセプトを伝えることが重要だとおっしゃっていました。
すり身を麺にするという非常にチャレンジングな企画。魚を麺にしている地域はいくつかありますが、市場ができるまでには育っていません。丸山さんからも「スープまで難しくすると、コンセプトが伝わらないのでは」というアドバイスもあったそうです。
そこでスープをシンプルにすることで「魚の麺」というコンセプトがより伝わりやすくなりました。
結果、福岡らしい「わかりやすい」を追求した3種類のスープでいこうとなったそうです。
その後のPRでも『魚を「主菜」から「主食」へ』というキャッチーなコンセプトが大活躍。多くの人の心をグッとつかみ、HAKATA BOKOMEN!の魅力を存分に伝えることができたそうです。
裏話や秘話を聞くと、美味しさだけではなく、コンセプトの力も大切なんだと感じますよね。
PRは企画・開発段階から戦略を練ることがカギ
公開から約1週間で目標金額の265%を達成したHAKATA BOKOMEN!ですが、この成功は魅力的なコンセプトだけでなく、開発段階から構想していたPR戦略の効果があります。
古庄さんは商品の企画・開発をする際に、プロモーションを最初から考えておかないとうまくいかないとおっしゃっていました。ここでも「福岡らしさ」を表現するために、古庄さんが「屋台」によるPRを提案したそうです。
企画段階からポップアップをいつ、どこでするのか、プレスリリースの配信日などある程度決めておき、販売日に合わせて行ったそうです。
今後の目標:「たんぱく質をすすれる」福岡のB級グルメとして根付かせたい
最後にHAKATA BOKOMEN!の今後の目標についてお話していただきました。
江越さんの今後の目標は、HAKATA BOKOMEN!を福岡の新しいB級グルメとして定着させることだそうです。福岡といえば誰しも「ラーメン」を思いつくでしょう。飲み会の後に食べるラーメンはめちゃくちゃ美味しいです。
ただ、やっぱり深夜のラーメンには罪悪感がありますよね。そんな時こそ、脂質が低く、たんぱく質が豊富なHAKATA BOKOMEN!を締めの一杯に選んでほしい。「3回に1回くらいは小麦じゃなくて魚の麺を選択肢に入れてくれたら嬉しい」とおっしゃっていました。
実際、HAKATA BOKOMEN!この麺150gには、なんと12gものたんぱく質が含まれているそうです。まさに「たんぱく質をすすれる」画期的な商品です。飲み会の締めくくりだけでなく、トレーニング中の方の食事としても最適。
今後、街中でHAKATA BOKOMEN!を見かける機会が増えることが楽しみです!
質疑応答
最後に参加者から質疑応答がありました。数多くご質問いただきましたので、一部抜粋してお届けします。
Q.商品名は最初から決まったのか、複数候補から決まったのでしょうか
古庄さん:一番最初の企画書段階では「エソヌードル」でした。ただ納得はできていなかったので、改めて「BOKOMEN!」という名前を提案させてもらって江越さんのほうで社内で検討してもらいました。
江越さん:そうですね。この名前の決め手になったのは、かまぼこの「ぼこ」からネーミングをつけていることに意外と気づかないことでした。話のネタにもなりますし、なるほど!となるのが決め手でした。
古庄さん:「ネーミングも重要だと考えていて、今回のテーマと合わせて、名前まで真面目にすると伝わる人が限定されるかもしれないと思ったんですよね。なので、今回パッケージやネーミングも含めてポップにしました。
Q.製品化まで達成しましたが、MAKUAKE終了後の展開を教えてください
古庄さん:ポップアップで実際にお客様の声を聞いてから、いろいろなヒントを得ることができました。飲食店に直接おろしていくことを考えています。実際ラーメン店だったり、ジム併設のカフェだったり、そういったところからお声がけいただいています。
そのほかにもたくさんのご質問をいただきました。ありがとうございます!
試食&交流会の様子(21:20〜)
トークイベント終了後は、現地参加者限定でHAKATA BOKOMEN!の試食会です!
今回は「あごだし柚子胡椒」のスープを用意していただきました。魚介の旨みがダイレクトに伝わる味。魚のすり身でできたとは思えないほどプリプリ、モチモチの食感でした。
参加者のみなさまからは
「麺がモチモチしていて美味しい」
「スープの香りがすごく良い」
「お酒と合いそう」
など、さまざまな感想が飛び交っていました。何回もおかわりをする方もいらっしゃって、参加者全員が試食を楽しんでいました。
HAKATA BOKOMEN!の購入方法&今後の販売戦略
「HAKATA BOKOMEN!を応援したい!」「食べてみたい!」という方は、下記よりHAKATA BOKOMEN!を購入できます。
九州マーケティングサロン"YADORIBI"の今後の活動
九州マーケティングサロンYADORIBIでは、今後も地域を盛り上げるためのイベントを計画中です!地域マーケティング、地域づくりについて相談したい方、仲間がほしい方など、興味がある方はぜひご参加ください。
まとめ
今回のイベントでは、HAKATA BOKOMEN!という革新的な商品の開発秘話や、その背景にある熱い想いを聞くことができました。老舗練り物屋と食のブランディング会社という異色のタッグが生み出したこの商品は魚食の未来を変える可能性を秘めています。
「魚を主菜から主食へ」というコンセプトのもと、美味しさだけでなく、健康にも配慮したHAKATA BOKOMEN!は、食の新たな選択肢となるでしょう。
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