飽きないから好きなのか、好きだから飽きないのか

ピアノに関して、これは「飽きないから好き」なのだと自覚している。

ピアノを弾くことは、飽きないのだ。

まず、曲の数が底を尽きることがない。どんどん生まれる。

たとえピアノを弾く人生を何回か繰り返したとしても、弾くべき曲はいっこうになくならないと思う。

そして、味覚と同じで、自分の好みが変わっていくのを感じられる。

子どもの頃食べられなかった牡蠣が美味しく感じられたり、コーヒーが飲めるようになったりするのと同じ。

好きが増えて、世界が広がる。

牡蠣が日本酒を呼び、コーヒーが自分のリラックスタイムを作り出す。

そんな風に弾きたい曲が変化していくから、飽きない。

20代の頃はまったく響かなかったラヴェルが、いまは響く。

自分はショパンが一番大好きなのだと思っていたのに。

そして昔一度弾いた曲も、いま弾くと、もっと上手く(面白く)弾ける。

そんな変化が楽しい。

あと、練習すると、曲が仕上がっていくから飽きない。

昨日弾けなかったところが、今日弾けるようになって、だんだんと音楽になっていく。

音楽になってく、という感覚は、例えばお菓子作りをして、見た目も味もお気に入りのケーキができつつある時。

もしくは、自分の心や見たいものを大きな絵で表現できつつある時のよう。

( どちらもやったことはない(*´▽`*) )

飽きない理由はこんな感じである。

その代わり、前に進めない自分の時は、ピアノが弾けない。

まだ昨日に留まっていたい時。

去年に戻って過去を見つめている時。

目まぐるしさに疲れて変化を楽しめない時。

そんな時は全然弾けない。

けっこう辛い。

それでも、また弾けるようになった時の爽快さは素晴らしい。

弾きかけの曲は、そのまま静かに私を待っているし、ピアノも私を催促することはない。

いつか、こんな良きパートナーと過ごせる静かな部屋を手に入れるのが夢。

ピアノを弾くことは、飽きやすい私の、唯一の自慢。









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