見出し画像

仲良しグループでのトラブル

 たかがTwitter、されどTwitterといったところか、現実の世界と同じくTwitterでも新密度の濃淡ができ、ときには仲良しグループが構築されることがある。

 私もだいぶ昔に仲良しグループの中で楽しくリプライをし合ったり、いつの間にかできたグループDMに放り込まれ、わちゃわちゃと文字のコミュニケーションを重ねたりして、親睦を深めていったりした。当時、現実で人との交流が減っていた私にとって貴重な場であり、何物にも代えがたい空間となっていた。ちなみに、妻と出会ったのもこの仲良しグループである。

 さて、人が集まると良いこともあれば悪いことも起こるのが常だ。
 私たちの仲良しグループもにぎやかな空気をずっとまとっていたわけではなく、トラブルが生じて険悪なムードが漂うこともあった。ちょっとした思想の違いや感覚のずれでギスギスしたり、気に入らない人を邪魔者扱いしたりと、どんな問題が起こるのかは様々である。私たちのケースでは、過剰ないじりによって人を傷つけ、コミュニティの崩壊の危機を招いた
 かわいそうなほどいじられてぶちギレたフォロワー、仮にHとしておこうか。Hは私と同い年の男性で、他の3,4人の女性とつるんで普段から仲良くしていた。私やHたちは、うつ気味だとか病歴何年だとか病気に関することから、今食べているものや好きなものなどたわいもない会話、仲間内でしか通じないようなジョークを使った会話や下ネタまで様々なことを話し込んでいた。仲間の多くは療養中である当事者であるためやり取りは一日中行なわれていて、当時修士論文が上手く進まず不貞腐れていた学生の私もほぼ一日中参加していた。

 ある日、グループDMで顔を晒す大会みたいのが行なわれ、自分の顔写真を晒して互いの顔を知りあうこととなった。Hも当然顔を晒し、ガヤガヤワイワイはしゃいでいた。その数日後、タイムラインで始まったのがHの顔いじりである。
 Hには、子どもの頃、顔の特徴でいじめられた経験があった。大人になった今、その特徴はなくなっていたのだが、顔に若干のコンプレックスを抱えていたことはみんな知っていた。それなのに始まってしまったHへの顔いじり。
 つらかったかもしれないが、最初はHもノリよく対応していた。軽いノリ一発くらいで終わらしておけばトラブルになるほどではなかっただろうが、みんなでよってたかっていじり倒す。たまたま研究が忙しかった私は傍観者の立場だったのだが、面白おかしく観察するにとどまっていた。このとき、止めに入っていればまた変わったかもしれない、
 研究室のミーティングがあったため、私が途中でタイムラインを追えなくなった間にことは起こった。ついにHがキレたのだ。最終的に妻がブチギレさせたらしい。
 普段飲まない酒を飲んだのも後押しして、ツイートは荒れに荒れまくっていた。いじりで膨れ上がった怒りや悲しみを方々にぶちまける。周りの人も巻き込み、なだめに入る。

 数日して、何とか仲直りはしたものの、その後仲良しグループは自然消滅することとなった。

 人にはいじられても何とも思わない部分もあれば、悪意を持って触れられるといじりなんて言葉で片付けたくないほど傷ついてしまう部分もある。そんなセンシティブな部分に触れるのはできるだけ避けるべき、というのは当然で、リアルタイムで顔の見えないSNSの世界でも当たり前のことだ。とくに、Twitterはほぼ140字の文字だけのやり取りなので、発言に対するフォローが難しく、距離の取り方を誤ったり、誤解が生じたりする。
 コミュニケーションはTwitterならではの難しさ、現実とも共通する難しさが存在する。いくら親しくとも相手を傷つけるようなコミュニケーションの取り方は良くないので気を付けましょう。

ブログとはまた違ったテイストです。