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私の光る君へ13

〜大河ドラマ『光る君』「進むべき道」雑感〜
 西暦990年、一条天皇元服(10歳)、定子入内(13歳)。この天皇の短い生涯の中に、「枕草子」「源氏物語」の制作と完成があり、一条四納言の活躍もあります。平安時代の頂点が、この30年程だったとも言えるのではないでしょうか。
 一応西暦1000年頃と言われている、『源氏物語』成立まで、後10年ということになります。紫式部はこれから結婚、出産、子育て、夫の死、を体験し、今だに謎に包まれたままの、彼女がいつどんな思いで、『源氏物語』を書き始めたのか、私は、ワクワクするラブシーンよりも、「因果応報」とも「もののあはれ」とも言われる、日本人の心の有り様への彫込みが、これから10年間分のドラマ展開でどう描かれるか、大変楽しみです。
 
   NHK大河は、1963年の開始からずっと私にとってとても大事な『史劇』でありましたので、今回もその流れに従って鑑賞したいと決意も新たに(笑)思います。
(日本人が、日曜夜に、家族全員テレビの前に集まって、毎年毎年日本の歴史のエポックの薄切りを重ねて視聴する。その体験が降り積もって、日本のどの時代かを聞くと、なんとなく「画像」が立ち上がる。そんな家族文化は、とうに廃れてしまったと、身に沁みてはいますが〜)
 
   娘所生の孫の天皇元服に加冠を勤め、長男の長女がすぐ女御となり、兼家(演・段田安則)は相当ほっとして、精神の綻びが見えてきてしまう。息子達は、それぞれに次代に備えて動き出す。定子を演じる高畑充希が、13歳に見えて驚嘆。一条帝とかくれんぼを見て、イラッときたのか、用を忘れたと帰ってしまう、吉田・詮子皇太后様。叔母と姪なのだが、姑嫁の関係は最初から良くないという設定。詮子は、定子の母貴子が嫌いだったらしい。この関係が後々「モッテル男・道長」の運命にも影響します。
 道隆(演・井浦新)の嫡妻、高階貴子(演・板谷由夏)は、長男伊周(コレチカ、演・三浦翔平)をほめまくっていました。私のイチオシ隆家クンも子役ながらに登場です。『枕草子』の世界が、まもなく展開されると思うと、わくわくしますね(^^♪
 
 市場を歩く、まひろとさわ。文字が読めなくて、人買いに子どもを攫われる母を見る〜というのだが、これはやや強引な設定ではないでしょうか!?貴族以外は、文字を習う暇などなかった平安庶民は、強引に子どもを攫われることはあっても、❝書類❞が読めなくて子どもを取られるはずがない〜それより子どもの代金の布置いてけ!!
 たとえ紫式部先生といえども、識字率と教育という、人類最大の文化制度に触れるには、時期がまだ早いです。まず先に『源氏物語』を書いてください。その物語が、勉強嫌いの貴族女子の憧れとなり、そろそろ力を得て来るであろう武士階級にも知られ、地方の開拓者である彼らが守護代や地頭などになり教養や文化を欲して、王朝文化のテキストとすれば、「物語の翼」となって文字は奥州にも拡がって行くでしょう。
 一人に文字を教えても、民を救えないという、さわさんの言う通りなのです。たった数百人の貴族が、五百万人ほどの民を治めていた時代、民は食べるだけで精一杯、死さえ安らかではなかったでしょう。芥川龍之介『羅生門』はオーバーな小説ではないのです(-_-;)
 
 殿上人達の会議。兼家の息子達が三人参加しています。国司の横暴を上訴する文書が、各地の民から提出されている。文字を書けるのは貴族に仕えたことのある、武士階級(開拓農民)でしょう。そういうことでも文字は徐々に広がっていったのでしょう。柄本・道長が「民なくば私達の暮らしはありません」と言って、秋山・実資が頷いて、御愛嬌のシーンでしょう。今の世の為政者でさえ、なかなかその思いに至れないのだから〜ゴメンナサイネ~リアルは感じられません。「精進、精進」は、次の佐々木・宣孝の御嶽詣での話(枕草子に書かれていて紫式部と清少納言の因縁話という定説)への繋がりでしょうか。秋山・実資も参議に成れてましたね〜兼家嫌いなはずですが~実資出ると、楽しいです。

 父頼忠の言葉に従い、道兼と昵懇になっている公任〜こっちの方がリアルだけど、近々ひどい目に合うでしょう。
 段田・兼家さんに、政を問うた柄本・道長。
 「お前が守るべきは民ではない。政とは家である。家を存続する、家の為の政をせよ。」なんて言われてます。流石に、いくら兼家さんでも、これはないでしょう。本心ではそう思っていても、貴族たちは漢文を読み、四書五経などにも触れているから、摂政にまでなった人が、ここまで無頼漢のような事は言わないと思うのですが。
 
 なんだか、しっくりこない「進むべき道」でした。
 源明子(演・瀧内公美)の「ほほ笑むことなく生きてきた」という台詞の後で、義父、段田・兼家から扇を貰ってほほ笑んでました!!次回、こわいぞ➖❢
 

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