見出し画像

アーティストを追っかけて、3年ぶり2回目のアイスランドへ

このnoteはアイスランドの首都、レイキャビークの宿で書いている。


3年ぶり2回目のアイスランド、今回も音楽フェスのIceland Airwavesが目的でやってきた。


厳密にいうと、Iceland Airwavesに出演するOf monsters and men(通称オブモン/英語圏ではOMAM)を追っかけにきた、ただそれだけ。


OMAMはアイスランドのバンドで、2012年の全米デビュー時にビルボード100で6位に食い込んだ、いまや世界的なバンド。


このバンド「だけ」を見るために、今回は8日間の予定でアイスランドにやってきた。




今でこそOMAMは世界的なバンドだし、日本での知名度もそれなりに高くなっているけれど、僕が初めて彼らを知ったのは2013年の夏のことだ。


当時僕は、カネなしコネなし、スキルもほぼなしの状態で独立して半年ほど。2012年の春に大学を卒業してから就職した会社をわずか5ヶ月で辞めて(人間関係や過労で、心身を壊してしまった)、再就職したら、もしかするともっとひどい状態になるかもしれない…という思いもあり、知り合いのツテで頂いた仕事をきっかけに、「チャレンジしてみよう」という思いで独立をしたのだった。


とはいうものの、もともと取引先をかかえているわけでもないので、目先の稼ぎを得ながら少しでも安定稼働を目指すことを目標に、当時は過ごしていて、その中で「フジロックフェスティバルの通訳スタッフ」という、スポットでの仕事に応募をしたのだった。


結果的に、面談では不採用となってしまったのだが、その後フェスの1週間ほど前に担当者から連絡があり、「もともと採用した人が病気になり参加が難しい。代わりに担当してもらえないか」ということだった。


当初採用したスタッフは全員東京、フェス会場の苗場まで近いことも採用のポイントだったらしく、関西在住の自分にとってはその点がデメリットのようで、「予算の関係で、交通費を全額補助する代わりに手当を少し下げさせてもらえないか」という話があったのだが、当時は(今もそうだけれど)お金よりも経験、という考え方をしていたので、何も失うものがない自分にとってはまたとないチャンス、ということで、関西から東京を経由してはるばる苗場まで行ったのだった。



仕事は、「通訳スタッフ」とはいうものの実質的には雑務といった感じで、フジロックにやってくるアーティストのチェックイン応対、ホテル案内、楽器(仕事道具)のクローク管理など。しかも男性ということで、シフト勤務のうち「午前2時開始、午後2時終了」というスケジュール。


仕事自体はそこまで大変ではないが、普段とは全く違う時間での仕事だったので、食事の時間も変わるし、慣れるまで時間はかかった。



フジロックフェスは確か4日間あったように覚えているのだけど、その中で上のスタッフさんが「勤務時間外に見に行っていいよ」という取り計らいをして頂き、会場に入るリストバンドを渡してくださった。


もともと聞く音楽も限られている身ではあるが、せっかくの機会なので、午後2時に仕事を終えてから仮眠を取って、ある日にちに会場に繰り出していったのだった。



そして、その時に「たまたま」見たのが、フジロック初参戦のOMAMだったのだ。


確か、会場入り口から近いステージで鑑賞しよう、くらいの気持ちでマップを調べて聞いてみたのだけど、その時に耳にした曲が忘れられなくて。


確か、Mountain soundだったように思う。

https://youtu.be/0gEVaniPOmU


このなんというか、今まで聞いたことのない爽やかな感じ。他にも何曲か聞いたと思うのだけど、食事も仮眠も取らないといけないので、OMAMのステージが終わる前にそそくさと部屋に戻ってしまったように思う。



そして、フジロックが終わってから。


苗場から関西に1日では戻れないので、東京は神田のビジネスホテルに宿泊し、そこで当日の記憶を頼りに、フジロックの公式サイトからアーティストの名前を調べて、YouTubeでどの曲を聴いたのか分かるまで、動画を漁り続けた。


そのとき以来OMAMをずっと聴き続けていて、次は仕事じゃなくて、ファンとして公演に参加したいと思っていた。



その後、日本を離れてポーランドに移ったときに彼らの公演スケジュールを調べ、2016年のIceland Airwavesに万難を排して参加。



このときは、OMAMのセッションが始まる数時間前から会場に陣取り、先行するアーティストの公演をたしなみつつ、ステージ2列目までちゃっかり移動して、OMAMのステージでは涙を流しながら曲目を他の参加者と一緒に楽しんだ。


画像1


2013年の夏から2016年の秋まで、新潟の苗場からアイスランドのレイキャビークまで。我ながらよく待ったと思うし、よく移動したと思う。


そして、2017年、2018年は音沙汰のなかったOMAMが、2019年のIceland Airwavesに参加することを知ったのが、同年の5月。「これは行くしか」と即決し、フェスのチケットを買って航空券を買って宿を抑え、3年ぶりに世界最北の首都にまた、やってきたわけだ。



今回、OMAMは世界公演の真っ最中。Airwavesの公演は、その世界ツアーの1つのイベントという認識なんだそうだが、これぞまさに、文字通りの「凱旋」なんだなあ、と思って、まだ本番が始まる前から感慨に浸っている。



2019年には4年ぶりのニューアルバムをリリースし、また違う世界を見せてくれるんだろうと勝手にワクワクしながら、本番の9日を迎えられるように過ごしていきたいと思うし、せっかくの機会なので、普段聞くことがないであろうアーティストのセッションにも顔を出したいと思う。




2013年の面談で「音楽に興味はありますか」と聞かれて、「とても詳しいわけではないけれどJPOPも洋楽も、好きなアーティストはいます」と答えたようにおぼろげに覚えてはいるものの、不思議なことに、あの仕事がきっかけで、前よりももっと、音楽が好きになったし、知らない世界を知れるようになった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?