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ダメ男のケンドー一直線!

これこそ、下手にリアルのアタシを知ってる人からしたら「マサにイガイやイガイ」なネタではないかね。だってまだスポーツならともかく、剣道っつったら<武道>なんだから。
とにかくイッショーケンメー頑張ります!

幼稚園年長組の時に長期入院したことがあってね、この時の表向きの理由は急性腎炎でした。ま、わざわざ表向きって書いた通り、ホントのところはわからんけど。
と思うのも、アタシは幼少の頃からとにかく身体が弱かった。しょっちゅう風邪をひくし、何だかよくわからない理由でやたら高熱をだして寝込んでいたんです。

年少組の時は入院とかしてたわけじゃないけど、毎日幼稚園に行けなかった。それくらい身体が弱かったんです。
無事退院して、小学校にあがっても、身体が弱いのは変わらず、相変わらずよく熱をだしていました。
さすがにこれはマズい、と両親も思ったんでしょうね。アタシが小学2年になった頃に突然「剣道を習え」とのお達しが出た。ま、お達しっていったら大仰だけど、こちらに選択権なんかない。いわば強制です。

それからアタシは剣道場に通い出した。
道場の場所は電車で一駅のところにあり、体育館くらいの広さの木造の古い建物でした。
ここで週に2回、一回あたり2時間くらい稽古をするんだけど、これがまァ、とにかく、まったく面白くない。
小学2年というとプロ野球に興味を持ち始めたトシです。やっと。プロ野球というと当時(ま、今も、か)もっとも人々が関心を寄せるスポーツであり、つまりスポーツってもんに目覚めたばっかりってことになる。

だからもちろん剣道なんか興味があるわけがない。つか剣道がどんなもんかさえよくわかってなかったんだから。
しかもこの稽古ってのがね、ただ木刀とか竹刀を<振る>だけなんですよ。つまり<型>だけ。
これがまだ試合形式でやらしてくれるなら面白みを感じようもあるけど、延々<型>だけやらされても面白いわけがないんです。

ここの道場は「強い剣道家を育てる」ためのものではなく、あくまで「心身ともに鍛える」ための道場です。だから型を黙々とやって、自分を鍛えるのが重んじられたし、試合をやってどうこうというような場所でははじめからなかったんです。
しかしアタシもまだ子供で、試合をやらせてくれよ、とも思わなかった。子供なんだから問答無用で<型>だけなんだ、と無邪気に信じていたというか。

教えるのは警察のOBの人たちでした。ま、子供相手だから異様に厳しいってこともなかったけど甘くもない。ちゃんとやらないとキツく怒られるし。
しかしさ、今考えれば1970年代半ばで、すでに警察の<OB>ってことは、当然のように戦争体験者ってことになる。つか戦地に行った人もいっぱいいたはずだし、軍国主義の頃の思想が残存してないわけがない。年齢的にもっともそういうのをダイレクトに受け止めている世代とも言えるんだから。しかも元とはいえ警察官ですからね。

いやはや、今考えたらかなり薄ら寒いけど、実際に理不尽な目にあったりとかはとくにはありませんでした。そーゆー意味ではこの頃隆盛を極めていた戸塚ヨットスクールとかとは違います。

だからといって親しげに喋りかけられるような空気はまったくない。つかこの場所で談笑っつーか笑い声を聞いた記憶が一切ないんです。
アタシは頭が悪いから良い表現が思い浮かばないけど、厳格ってのも違うし、ま、確実に言えるのは完璧なる<男の世界>でした。
アタシもその後の人生はいろいろあったけど、あそこまで男臭い空気はあの道場が最高峰です。

いやね、それはそれでカッコいい気もするけど、マジで男<臭かった>んですよ。そう、文字通り、この道場、メチャクチャ臭いんです。
剣道の防具とか道着って洗っちゃいけないのか?いやいけないんだろうなと信じてしまってたほど、警察OBの方からの防具や道着から強烈な臭いが発せられている。
たぶんこれも人生で最高峰だと思う。とにかくあんな<臭い>空間はあれ以来味わったことがありません。

小学生低学年の頃までは道着を着て木刀を持っていきゃよかったんだけど、高学年になったくらいから木刀が竹刀に変わった。んで防具も持っていくようになってね。
これが重いのよ。大人だったらたいしたことはないと思うし、防具ったってちゃんと子供用ですよ。でも重い。
ホント、それが苦痛で、駅から道場までわりと歩くんです。しかも、何しろ坂の多い街・神戸だから延々と登って行かなきゃいけない。重い防具を肩に担いで。

と、ここまで読んでいただければ「面白くない」だの「臭い」だの「重い」だの、ネガティブなことしか書いてないことにお気づきだと思います。
ここまでネガティブな展開で話が始まれば、普通はここでドラマが反転する。突然、剣道の面白さに目覚めた!みたいに。
けどあいにく、そうはならない。

思えば小学生の時に習ってたっていうのに、剣道にかんして、今現在、極端に興味がない。
たとえばこれが柔道ならまだ違う。
柔道は何たってオリンピック種目であるってのが大きいし、先日、地元神戸の柔道兄妹こと阿部兄妹がふたりとも金メダルを獲得したのは本当に泣いた。
話が逸れるからこれで止めるけど、君等は地元の誇りだ!

でも剣道は違うんですよ。
漫画もね、柔道はまだいろいろあるわけですよ。でも剣道はマジで、いやアタシが知らなすぎるだけかもしれないけど、古すぎる「赤胴鈴之助」はともかく、マジで「おれは鉄兵」しか知らない。
ただ、これ、どうもあんまり好きじゃない。ちばてつやの漫画は好きだし、「ハリスの旋風」とか本当に好きなんだけど、「ハリスの旋風」の主人公・石田国松に比べると「おれは鉄兵」の上杉鉄兵はハチャメチャすぎて感情移入出来ないし。
あ、でも「六三四の剣」もあったか。でもダメ男的には「六三四の剣」と言われてもファミコンソフトしか浮かばないわ。

何だか話が逸れまくるのでそろそろ終わりますが、実際剣道を習ってた範囲ではたいしたエピソードがないのよ。せいぜい風邪で学校を休んでたのに、母親に剣道の昇級試験は行かされたくらい。それもこの一文がコトの<すべて>だしさ。
エピソードがないのに何で剣道の話を書こうと思ったかは、途中で書いたように阿部兄妹が金メダルを獲ったから。もう、それだけ。
で、たしかにアタシは柔道は習ったことないけど剣道ならあるな、と。

え?だったらエントリタイトルは何だって?だからそのままですよ。剣道は一直線にどっかに飛んでいっちゃったってことで。
そんな感じで、さらばじゃ!