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【塾生通信#15】"人前で話す"から"議論する"へ

こんにちは。薮中塾6期生の田端友佳(ともか)です。現在、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科アフリカ地域研究専攻の博士課程後期1年で、6期生のなかでは最年長の27歳です。


自己紹介

現在の大学院に入学する前は、動画配信プラットフォームを提供する会社の大阪拠点で、企画提案営業として3年間勤務していました。法人のお客様に対して配信面はもちろんのこと、コンテンツ作りのサポートも担当していました。新規開拓を担当していた最初の1年半は、主に教育業界に対してオンライン講義の啓蒙活動を行っていました。この配信サービスの導入までは1年ほどかかることが多く、すぐに結果が数字として表れるわけではなかったですが、地道に足を運んでいました。


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(初受注のお祝いで、アウトバックステーキに連れて行ってもらいました)

なかでも一番たのしかったのは、1年目に受注した日本語学習サイトのWeb制作・動画制作・動画配信案件です。先方が思い浮かべているものを、こちら側の制作チームと一緒に創り上げるのは手探りでしたが、とてもやりがいがありました。コンテンツを制作していく過程で、学部時代のアメリカ留学で得た「日本語学習者の興味・関心」に関する感覚が役に立ちました。

世の中に便利な仕組みを提供することや、お客様の思いを素敵な形にして発信する仕事で毎日が充実していましたが退職しました。学部時代から関心のあった開発援助について勉強するためです。

これまでの仕事での経験を通じ、現場を通してモノを見ることが重要だと考えた私は、開発援助を現場から見たいと思い、フィールドワークのある現大学院に入りました。「ザンビアの農業投入財支援政策におけるIT導入」をテーマに、計5ヵ月間ザンビアの農村にて現地調査し、博士予備論文(修士論文に相当)を先日提出しました。現在は外部に投稿する準備をしています。


コロナが拡大し、オンライン配信サービスはかなり活躍しているようで、つらい状況ではあるものの、やっと動画配信/Web会議の便利さが社会に認知され、これまでやってきた仕事がようやく日の目をみるとの思いでうれしい限りです。しかし、大学院生となった身としては、アフリカに渡航できない状況が続いており、先行きが不安です。


ザンビアではコロナの影響で、都市労働者が現金収入を得る機会が少なくなったことから、WFP(世界食糧計画)から主食であるトウモロコシの支援を受けています。これまでの研究では、農村におけるトウモロコシ生産からザンビアの食糧安全保障を考えようとしていましたが、コロナを機にもう少し視野を広げて研究に取り組みたいです。

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(学部時代の留学先の授業「オリエンタル・スウォード」の演武)



ここまで、長い自己紹介となりましたが、ここから、薮中塾での活動について書いていきます。

薮中塾との出会い

入塾したのは今年ですが、社会人の頃から気になっていました。しかし当時は、自分の強みは何もないし、議論するほど物事に対して関心を持っていないという理由であきらめていました。
大学院に入学後、研究室の先輩との会話で、よく時事問題が話題になっていましたが、いざ私の意見を聞かれると困ることが多くありました。「これってよく調べたうえで、理由とともに作るものだよな」と。「私の意見とはなんぞや」と考えていたところ、薮中塾の存在を思い出しました。ゼミ発表での質疑応答を上達したい、ゆくゆくは英語の授業でのディスカッションでも話せるように、まず日本語で論理的に話す力を鍛えたいとも考えていたことから、やるなら今しかない!と思い応募しました。


入塾

19歳の学部生から25歳までの院生、ひいては社会人の仲間たちとの会話のなかで、今まで経験したことのない言葉のシャワーを浴びてたくさんの刺激を受けました。また、毎回の勉強会準備では様々な参考資料を読み、自分の意見をまとめていくのですが、これがいつも時間が足りません。勉強会では緊張感がピークになりながら頭をフル回転させるため、7カ月経った今でも終了後は頭が痛くなります。


苦手の克服

もともと、大勢の前で話すのも苦手でした。ふだん(顧客先以外で)話す時も小声で、結果聞き返されて怖くなり自信を失うという悪循環に陥ることがよくありました。


初めての勉強会では、塾生約25人の前で自ら手を挙げ発言するなんて、zoomであってもとてもできませんでした。直接会ったこともない、互いをよく知らない相手に対峙するとできるだけ発言したくないという気持ちになっていました。


3回目の勉強会からは、「speak with logic」に集中するようになりました。それは、勉強会のグループワークで、チームでの意見を作る際に、できるだけわかりやすく(論理的に)自分の意見を伝えて意思疎通を図ることが大切であると気づいたからです。


まだまだspeak out どまりですが、勉強会準備をする中で、with logicを意識していくようになりました。一つの意見に対して賛成する時でも、自らの中にある理由のない同意に疑問を抱くようになり、少しずつ理由とともに述べることができるようになっていきました。


前期に担当した9月勉強会の仲間から、「なんでもっと発言しないのか?色々考えていることが見て取れるので、発言しないのはもったいない。」と言われたことがありました。少し振り返ったことを書かせていただきます。

9月勉強会「食料安全保障」の準備は5月からMTGを行い、じっくりと時間をかけて進めていました。新しい場に入った時に出る癖で、はじめのほうは周りの様子をうかがって発言は最小限にしていました。上手く溶け込もうと思ってのことでしたが、むしろタイミングを見計らいすぎて、発言しにくくなっていました。言わずじまいを繰り返すうちに、途中から発言するのを諦めて、議論が脱線しはじめたら、軌道修正しようぐらいに思ってしまっていました。

8月からはチームに分かれて準備を進めていきました。そのときは、担当したものに注力したり、チームとして作業が間に合っていない大変な状況になった時にサポートするなかで「エンジンがかかるとすごい勢いでやるが、それ以外のコミュニケーションは消極的」という印象となっていたようです。周囲が率先して物事を進める人たちだったから、この対応でも上手くいったのですが、もし消極的な・サポート系の人ばかりが集まればどうだったのだろうと思うと怖いです。

振り返りMTG時に、「必ずしも前に出る必要はない、自分のコミュニケーションスタイルを確立しよう」と言ってもらえました。自分の発言しやすい場ともっと積極的に色々なものを担当するようなスタンスを持つべきだと考え、残り半年間のとりたいアクションをまとめてみました。

★アクション★
①ムラなく、はじめからエンジンをかける
・自分の発言しやすい環境を作るためにも初めは発言多めを意識
・サポート役/困った状況への助っ人としてだけではなく、一人でもなにか担当してみる
②考えていることを没にせずに発言する
・的確に背景を含めて、具体的な表現で説明することを意識(speak out with logic)
③伝えるべき意見はしっかり言う
・相手の反応を恐れないことを意識
・すぐにぶれない(特にディベートで)

現在準備している12月勉強会でもspeak outを心掛けています。たまに頭を通さずによくわからないことを言っていることがありますが、積極的に発言できるようになった証拠かなと思い、一旦受け止めています。


ここまで、発言に対する苦手意識とその変化について書いてきましたが、ここからは、私が今後取り組みたいことについて書いていきます。

私が薮中塾に与えられる価値

薮中塾では、塾生一人一人の発言に重みがあります。それは、大学で自分の専門分野に深くコミットしていたり、インターンや留学、NPOなどでの活動を通して経験を積んだりしているからだと思います。私も含め、塾生は常に多忙な中でも、さらにやりたいことを見つけて挑戦していく姿に圧倒されます。

ここまで成長させてきてくれた薮中塾にわたしが還元できそうなものとして、自らの研究に関連する分野について、今月からミニ勉強会で発信し始めました。

第1回目はザンビアのフィールドワークで撮影した農村の記録映像の鑑賞会です。「ザンビアの農村の映像なんて友佳さんしか持ってない」と言ってもらったことが嬉しく、少しでも自分の価値を出していこうと考えた次第です。(映像人類学の勉強も少ししているため、もうすこしブラッシュアップしていきたいと思っています。)次のミニ勉強会では議論できる形にしたく、「アフリカ外交」や「アフリカへの企業進出と投資したいスタートアップ企業」をテーマにしようと考えています。残り4か月で今期の活動が終わりますが、卒業後も積極的に議論のネタを提供していきたいです。


卒塾後

薮中塾の卒業後は、研究にまい進しようと思っています。自分の調査結果や意見をspeakするだけではなく、logicをもって書くことで、残していきたいです。
20代後半の現在、自分に足りないものを突き付けられ、それらをひとつずつ克服しスキルにしていく過程は、もどかしい部分もありますが、これからも自分に向き合いながら希望の叶う30代の基礎作りをしていきたいです。


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(屋久島の登山道。トロッコ道を数時間歩いていた気がします)

6期 田端友佳

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