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読書「たったひとりでクリルの島へ」 浅井淳子著 山と渓谷社 世界を巡るII  度胸で異文化・国際交流

1 この本との出会い
山登り、山スキーで北の山で遊ぶことが多く、北海道の先、樺太、千島列島はいつか、行ってみたい場所です。ペレストロイカの後、団体旅行でなくて、遠征的な活動でもなくて、旅ででかけて山に登れるようになったので(どこでもでなく、制限はあるけど)、旅の記録、登山の記録、歴史書、写真集などを読んできました。本書はその中の一冊です。

2 本書
著者の浅井さんは、テレビの旅番組などにもに出ていた、旅作家さん。取材で千島を尋ねた時に、地元の人とネットワークを作り、次に一人で島を訪問した。本書はその時のものです。択捉島、歯舞諸島は、それまで、個人旅行をほとんど受けていない状態なのに、そこへ一人で飛び込んでいく。ものすごい、エネルギーと度胸です。
暖かい人々に出会い、難局を乗り越えていく毎日が、いきいきと書かれています。旅のスタイルは、無鉄砲な若者バックパッカー的であり、昔し、少しだけアジアやヨーロッパを一人旅していた時のことを思い出しました。
浅井さんは、今は難病の娘さん(と言っても、年齢は大人)と、ハワイで暮らされているようで、HPで情報発信されています。

3 信じて待つ
北方の島々は、そもそも、日本でもロシアでもなかった地。双方が近代化を目指した時代に、毛皮や海産資源目的に進出して、自分の地と主張して今に至る。専門書を読んで、私はこのように解釈しています。間違っていたら、ごめんなさい。ロシアは一時、アラスカも保有していて、お金に困ってアメリカに手渡しています。

ペレストロイカを機に、地元(日本とロシア双方)のたくさんの人が、それまでできなかった草の根の交流を続けてきた。少しだけ、自由に旅できるようになった。なのに、ロシアのウクライナ進行で、全てが水の泡となって消えるかもしれない。今はそんな状況です。

北海道に行けばわかりますが、千島も樺太も近いです。知床半島の山で山スキーをした時、特に感じました。晴れた稜線に立てば、国後島が目の前です。マスコミの一部が、今にもロシアが日本にせめてくるなんてことを書きますが、本当にそうでしょうか?冷静に判断して、不必要な心配、猜疑心を持ってはいけないです。いつしかまた、旅ができ、交流ができる日が戻ってくるはず。そう、信じています。

私が読んだ、北の島の関連本です。

北千島冒険紀行 阿部幹雄著 山と渓谷社
エトロフの青いトマト 菅原 有悠著 山と渓谷社
カムチャッカ探検記 岡田昇著 三五館
北方領土の基礎知識 黒岩幸子、石郷岡建著 東洋書店新社
サハリン旅の始まり 山本淳一著 斎藤亮一写真 清流出版
ロシア極東1サハリン 北海道新聞社ガイド
写真集Sakhalin  新田樹著 ミーシャズプレス

写真1 サシルイ岳から西側の斜面を滑る、海の奥に写っているのが国後島
(写真は島を強調する処理をしています)
写真2 北の島に関する本

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