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PPP的関心【人への投資のその前に。人材を見出し、活かす環境作り】

PPP的取り組みについて、過去の実績を特殊解と捉えず、一般解化するのが自分にとって一つのテーマであるという話は前にも書いたことがあります。

繰り返しますが、事業の仕立てや計画の推進・実践手法に関する情報の拡散は着々と進み、一般化(というか仕組みとしてのコピーはできる状態)には近づいているのではないかと思う一方で、この事業は誰がやるのですか?については相変わらず「特殊なまま」なんだな、を痛感したのが今回の視察でした。

PPP的関心 記事より

以前の記事で上記のような「人」の重要性を書きましたが、先日決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」でも「人材への投資」というキーワードが示されました。
今回はそれを読んで考えたことについて(以前の記事の繰り返しかも…)。
*写真は先日訪れた木伏緑地(Park PFIプロジェクト)@盛岡市。制度+志と思いという「人の力」で突破した一面を持つと聞く事業。

経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)

#日経COMEMO   #NIKKEI

「骨太方針2022」の概要版の整理から、「Ⅱ新しい資本主義に向けた改革」の中で個人的に注目したことは(一番目のテーマとして示されている)「人への投資と分配」が記されていることです。
また社会課題の解決に向けた取組として「民間による社会的価値の創造」が示され、その中にPPP/PFIの活用、社会的インパクト投資といった官民が連携する取り組み方を用いることも記されていること。さらに「Ⅳ中長期の経済運営」、「Ⅴ当面の経済財政運営の考え方」として「官民連携による計画的な重点投資の推進」という表現で公的サービス提供における民間の役割への期待が大きくなっていくことが示されている点にも着目しました。

PPP的取り組みと人材資本投資

本文全文「経済財政運営と改革の基本方針 2022 新しい資本主義へ ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」にある人への投資と配分には、(人的資本投資)の他、(多様な働き方の推進)、(質の高い教育の実現)、(賃上げ、最低賃金)、(貯蓄から投資のための「資産所得倍増プラン」)とテーマアップされていますが、特に(人的資本投資)では

社会全体で学び直し(リカレント教育)を促進するための環境を整備する 。 学び直しによる成果の可視化と適切な評価、学び直し成果を活用したキャリアアップや兼業・副業の促進、学ぶ意欲がある人への支援の充実や環境整備、成長分野のニーズに応じ たプログラムの開発支援や学び直しの産学官の対話、企業におけるリカレント教育による 人材育成の強化等の取組を進める。

本文より

という記述があります。
個人的には「リカレント教育」、つまり求められるものや社会環境の変化に対応するために必要なスキルや求められるマインドセットの更新をするための機会の促進というのは重要だと思いました。

自分も、新卒で入った会社、次に移った会社での営業や研究職として一業界を深掘りする経験をした後、異分野の社会人大学院(PPPスクール)に自費入学し新たな知見や人的ネットワークを得たことで今がある、という経験を持っています。リカレント教育の機会を得ることがその後の働き方や仕事を変えることを体験的に理解できます。

PPP/PFI推進は「誰がやるか」
「牽引者への投資」と環境整備

骨太方針を全体的に見ればグリーンとかデジタルとかもっと重要なテーマもありますが、個人的な関心領域に限って取り上げてみました。

例えばPPP/PFI関連で言えば、事業スキームを理解してコピーするための知識の習得のための機会は最低限のものだと思います。
しかし、もっと必要なことは、冒頭の過去記事でも書いたように実践に際して高い当事者意識を持つことや従来とは違う手法を採用することへの適応、つまりマインドセットの変更(更新)が不可欠だと思います。

特にPPP/PFI手法による社会課題を推進するのであれば、個別の特殊解的事例を一般解化する(つまり他事業のスキームやビジネスモデルを引用しながら目前の個別の地域課題を解決する)ことは不可欠です。
それには必ず「人」がいる。「誰がやるか」ということが鍵になると思うのです。

一方で、「人」を生かすも殺すも環境次第です。個人が知見を蓄え、やる気にあふれたとしても、周りの容認や理解無しには組織としての仕事(PPP/PFI手法による社会課題を推進)は進みません。
全てがそうだとは言いませんが、例えば「わからない(経験がない)からやらない のか わからないからやってみる のか」「規則に書いてないことはできない のか 規則に書いてないことだからできる のか」は大きく違います。

そもそも人的資本投資や社会課題の解決手法の変化(民間活用)は「改革」を進めるための項目です。
そうである以上、前例にとらわれないことが必要。前例にとらわれないことを組織的に受け入れてゆく=環境を整える・変えること=周囲の変化が同時に必要だと思います。

また「投資」である以上「リターン」を求めることも重要です。
人的資本投資の機会を活かしました、教育を実施しました…といった具合に手段である投資行為が目的となることは避けなくてはなりません。
そうした意味でも、PPP/PFI手法による社会課題を推進というテーマの実効性を高めるためには投資からのリターンを追求するべく、時代や環境の変化に即した新たな手法で施策をやらせてみるという「周囲の受容、許容=環境の整備」が重要だと思いました。



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