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PPP的関心【地域の未来を創る新・建設業への道筋】

ほぼ1年前にこのPPP的関心に以下の記事を書きました。以降も折に触れて書いてきたわけですが、

実はこの考え方自体は1年前のにわか仕込みではなく、将来の業のあり方を「新・建設業」という言葉で表し広めるべく、監修の岡崎さんや書籍の中に登場する有識者の皆さんのご指導を受けながら著した(現在は著者と記されている団体とは離れていますが、実質的に執筆を担った者としてそのように書かせていただきます)のはもう3年前(2019年)のことです。

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今回は、以降数年間にわたって脈々と続けてきた活動の近況として先日9月21日に開催された新・建設業地方創生研究会 第二回公開セミナーのなかで印象に残った言葉、考えを記録しておこうと思います。
*写真は当日の会場エントランスの看板だけ(笑)

改めて。新・建設業地方創生研究会とは

新・建設業地方創生研究会については以前から何度か紹介をしていますが、改めてご参照いただきたいと思います。

この活動には
地域の社会生活・社会活動を持続するには各種インフラ、あるいは暮らしの安心・安全を提供する建物や施設・設備の更新や維持管理を担う業として地域になくてはならないのが建設業である
が、
必要だからといっても地域社会に貢献もできず、かつ非効率な企業は不要とみなされるという危機感を持って、社会に貢献できる効率的な企業になるため学びあい学びを実践してゆこう
という考えが根本にあります。

建設業を取り巻く事業環境は変化しています。
例えば財政制約等により公共事業が少なくなるなか減少した事業を奪い合う中で、工事件数の確保が優先とばかりに低価格競争を仕掛けるしかない企業の付加価値は高まりません。一方で職人の高齢化や新たな担い手不足問題や法改正による働き方改革(労働時間制約など)に対応するためのデジタル化投資、人材教育投資など将来への投資はますます必要となります。
このように仕事は確保しなければならないが生産性向上や高い付加価値確保のための十分な投資ができず、結果的に価格競争でしか戦えないという具合に建設業界の経営は悪循環にはまりやすい環境にあります。
ただし、それは「従来的な経営」から脱却しない場合に限っての話です。
ではどう脱却するのか。
それを学び、考え、実践する能力と機運を高める場が新・建設業地方創生研究会なのです。

デザインビルドと
マーケティング、プランニング、ファイナンス、オペレーション

9月21日開催の研究会のテーマは「企画提案型建設業への脱皮」でした。
簡単に言えば「見積もりさせてください」=低価格で請け負うことが受注の勝ち目ではなく「提案させてください」=私の優れたプランを合理的な価格で買ってくださいと言えることが勝ち目になる競争をしようという話です。

この「私の優れたアイデアとプランを合理的な価格で買って」という話にも通じるのが、以前の本の中で新・建設業に変貌してゆくうえで必須の力になる4つの力を持つという提言です。
もちろん、この4つの力を持つことだけで十分とは言いませんが、この章のタイトルに示した4つの力「マーケティング、プランニング、ファイナンス、オペレーション」は本当に必要で、しかも「先行」している企業はそこをきちんと押さえている、という実感を昨日の公開セミナーでも感じた次第です。

*詳細は研究会に参加いただく会員企業様に向けた情報でもありますので、「ざっくりと」したポイントを一つだけ記します。

例えば。公開セミナーで印象に残った話題とマーケティング

受注活動において金融機関からの紹介は大きなルートとなりますが、その際「自社はなんでもできます」という回答は一見すると相手にとっては期待を与えると思いがちです。しかし相手の目線に立てばなんでもできるということは特徴がないので「どこでも同じ」と捉えられ、結局技術とか存在で選ばれず(あなたでなければダメですとは思われず)タイミングとか巡り合わせといった不確実な要因に左右されてしまいます。
そのような経験から「我が社といえばこの分野・このビルディングタイプ」に「絞る・尖る」という戦略を採用したという話が提供されました。さらに絞り込んだ分野を(請負は形ある商品サービスではないが)ブランド化して訴求力を高めることで、絞り込んだ領域では大手に「負けない」少なくとも「競争ができる」状況を自ら生み出したそうです。

こうした取り組みはまさにマーケティングにおける「絞り込み戦略」ですが、この事例以外にも「分野を絞る」ことで機会を得た、拡大できたという話を提供いただきました。

マーケティングで自社のポジションを変える

受注機会の広がり以外に「絞りこみ・尖る」ことで得た財産についての話も自分の中では印象に残りました。
例えば、絞り込んだ分野に必要な知識や知見を学ぶ機会となり、その結果、競合に勝つ経験や顧客に褒められたり期待をされたりする経験を得たことで社員が自信を持つ自社で働くことに誇りを持つという効果が生じたことやさらなる好循環として他社にはない提案(プランニング)を提供できることが付加価値アップに反映され生産性も向上しているという話もありました。

その話は「シン」?…
はい。新・建設業の第一歩だと思います

地方創生研究会という言葉から受ける感じからして、ここまで紹介した取り組みは「地域を活性化しているのか」とか「単に自社の成長戦略の話ではないのか」という指摘もありそうです。

しかし、この研究会は地域の未来を創る際に必要とされる企業として生き残るための取り組みを考え動き始める機会を得るための会です。
先ほどのマーケティングの話は確かに企業戦略として優位性、独自性を確立するマーケティングの話と「だけ」映るかもしれません。しかし、企業として持続可能性が高くなければそもそも地域の未来にも貢献できません。
また、先ほども書いた通り、目の前で起こっている事業環境の変化(しかも過去の都合の良い状態には戻らない変化)はこれまでのやり方をなぞるだけの経営で乗り切れるものではありません。
その意味では、このような変革は地域に必要とされ未来に必要とされる企業として生き残るための一つの選択肢を考え実行した、まさに新・建設業への第一歩だと私は考えます。

マーケティング、ファイナンス、プランニング、オペレーションという4つの観点で自社の現状を把握し、どの分野から力を備えてさらに強みに変えてゆくかを考え、実行するタイミングかもしれません。

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