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PPP的関心【アフター復興に限らない。市場の変化に備えた"新・建設業"への転換】

「新・建設業」とは

私は、自身が主に執筆を進めた2019年の書籍で「新・建設業」という言葉を使い、行政による公共事業や民間ディベロッパーによる開発事業を「あてにした」経営から、自社の所在地域ごとの都市的課題に向き合い、地域に根ざしながらその課題に応える「事業」を主体的に企画立案、創り出す新しいスタイルの建設会社を目指そうという考えを発信してきました。(Kindle版リンクは以下

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いよいよ顕在化する「アフター・復興工事時代の"変化"」にどう対処するか

災害復旧のハード面を最前線で担ってきた建設業の収益は先細りが見込まれる。ソフトに軸足を移す復興の新たな形に向き合い、次なる収益源の確保が急務となっている。

#日経COMEMO #NIKKEI

建設業が元々のコアスキルを活かした「ハード整備」による収益確保を中心に事業を行う機会(市場規模)は、ピーク時の84兆円を境に2012年まで概ね減少傾向が続き、2012年はピーク時の半減(42兆円)となっていました。しかし記事にある復興需要、さらに民間建設投資の回復も相まって、ここ数年はピーク時には及ばないものの60兆円超の規模が維持されています。ただ、市場規模の縮小で競争環境は激化しているかといえばそうでもなく、工事を受ける側の建設業許可業者数の推移を見ると、これもピーク時の約60万社(1999年)から現在は約48万社(2020年)となっていて、数字上は競争環境の変化は多くなかったのではないかと考えられます。(出典:「令和2年度(2020年度) 建設投資見通し 概要」(国土交通省総合政策局 情報政策課 建設経済統計調査室)、「建設業許可業者数調査の結果について(概要)ー建設業許可業者の現況(令和 2 年 3 月末現在)ー」(国土交通省 不動産・建設経済局 建設業課))

もし一時的な押上げ効果をもたらした復興事業がなければ、市場規模の縮小は連続していたかもしれない建設土木請負市場で、復興事業が完了することは、大きな市場変化をようやく「顕在化」させるはずです。加えて、詳細は省きますが、専門技能者、就業人口の現象など別の観点でも建設業には変化が生じることも予測されています。本来ならもっと早く直面していたはずの市場の縮小、担い手不足といった建設業にとって危機的な状況に対し、競合の減少で緩やかな競争環境になっていただけの時代がすぎ、本格的に困難が顕在化した「あと」にどうしようか?と考えても、それでは遅いのは自明のことです。

地域課題の解決を新・建設業のビジネスチャンスに

冒頭に紹介した本では、新・建設業への転換を目指して、仕事を待ち受ける経営から自ら受注を創造する「創注型」の経営へと進化することで事業の持続可能性、発展の可能性を高めるべきである、と示しています。

私は、建設事業者(少し拡大して不動産事業者も)は、地域の持続可能性、地域の発展にとって不可欠な存在の一つだと考えています。人々の暮らしに欠かせない住宅や様々な施設の維持管理、更新、新設、利用チャンスの拡大などを支える重要な「地域の基幹産業」だからです。

高齢化や世帯数の減少からくる需要の縮小で、民間所有の建築物や公共施設が遊休不動産化するという問題を抱える地域・自治体の数は、何の手立ても講じなければ増えこそすれ減ることはないと思います。

どうすれば 自分たちの地域ににヒト・モノ・カネを呼び戻せるのか、活気あるまちづくりができるのか、といった社会問題に対処するための官民連携、民間事業者の自発的な取組みの中心に、ぜひ地域の基幹産業である建設業がいて欲しいものです。




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