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PPP的関心2024【フードデザート(食の砂漠)という言葉と再開発】

今回は自分向けにの記録メモ、かつちょっと前のニュース記事をネタにした投稿で大変恐縮ですが 、2ヶ月ほど前(昨年の年末)のニュースで見つけた自分の中ではインパクトがあった言葉があります。
その言葉は『フードデデザート』です。


フードデザートとは

・・・肉や魚、野菜など生鮮食品が入手困難になる「フードデザート(食の砂漠)」が地方だけでなく、東京都心にも広がっている。
地方で主にアクセスが問題となる中、都心では大型開発で移り住む富裕層が増加。手ごろな価格で買えるスーパーや個人商店が撤退し、高齢者を中心に「買い物難民」が発生する構図だ。・・・

記事より

#日経COMEMO #NIKKEI

記事中でも紹介されていた研究、「東京都心部における高所得層の増加に着目した低所得層の買い物困難化メカニズム ―ジェントリフィケーションが進行している港区麻布・高輪地区を対象に―(2020 中村,浅見)」でも、郊外や地方でのアクセス問題というよりも,再開発事業の進展による経済的格差の拡大によるジェントリフィケーションによる問題という視点で切り込まれています。

参考まで)ChatGPTにも現象の原因と影響も聞いてみた

こういう使いみちが適当かわかりませんが、ChatGPTにフードデザート現象が起こる原因と影響について聞いてみました。以下はその回答です。

「フードデザート(food desert)現象」とは、特定の地域が新鮮で健康的な食料品にアクセスできない状況を指します。この現象は主に都市部や低所得地域で見られ、以下のような原因と影響があります。

【原因】
経済的要因: 低所得地域では利益が少ないため、大手スーパーマーケットが出店を避けることがあります
交通の問題: 交通手段が限られている地域では、住民が遠くの食料品店に行くのが困難です
都市計画: 都市計画が不十分で、住宅地域と商業地域が適切に統合されていない場合、フードデザートが発生しやすくなります
人口動態: 一部の地域では、人口減少により食料品店が閉店することがあります

【影響】
健康問題: 健康的な食品へのアクセスが限られることで、肥満や糖尿病などの慢性疾患のリスクが高まります
経済的影響: 地域経済が低迷し、住民の生活水準が下がる可能性があります
社会的分断: 食料品へのアクセスが格差を生み出し、社会的不平等を助長することがあります
教育への影響: 栄養不足は子供の学業成績に悪影響を及ぼすことがあります

都心部のフードデザート。
ジェントリフィケーションと再開発

ジェントリフィケーション(英語: gentrification)とは、地域における居住者の階層の上位化とともに、建物の改修やクリアランス(都市再開発)の結果としての居住空間の質の向上が進行する現象のことである。
・・・
影響
1970年代ではインナーシティの再生と言われ、ジェントリフィケーションに対する期待も高かった。富裕層や経済活動が郊外移転していた先進国の大都市中心部では低所得者、高齢者、移民が集中していたことから、ジェントリフィケーションに伴う都心回帰の結果、都心部の人口のバランスの改善や地域の再活性化が起こった。しかし、問題点として立ち退きがあり、特に低所得者や高齢者などがその対象となった。ジェントリフィケーションに伴う家賃上昇の結果、居住環境の悪い場所への転居を余儀なくされ、地域コミュニティの崩壊やホームレスの発生を引き起こすこともある

Wikipediaより

中心市街地の空洞化が人々の営みを縮小、停滞させることで地域の価値(都市的アメニティの存在による暮らしを営む場所としての魅力やその結果としての市場価値)を低下させてしまうことへの対処の選択として行われるのが再開発だとすれば、その目的そのものは全く否定されるものではないかもしれない。ただし、再開発をどこまでやるか(混在の許容、余地の残し方)、どういう手順でやるか(価値創造の積み上げ)について無配慮に進めすぎることがフードデザートのような問題を短い時間の大きなインパクトで顕在化させるのでしょう。

再開発。どこまでやるかどうやるか

エリアリノベーションによる価値の積み上げと再開発

以前、渋谷のMIYASHITA PARKを非常勤を務める大学の研究会で訪問した際の記録をnoteに書きましたが、その中で

「まちづくりは行政による不動産ビジネス"でもある"」ということです。背景を簡単に言えば、自治体の自主財源は地域の価値(固定資産税や都市計画税の基盤)と地域の価値がもたらす魅力に惹かれて集まってくる活力ある市民(個人住民税の基盤)で構成されているわけで、つまりは地域を魅力的にする=域内の不動産を効果的に利活用することで地域経営の基盤を安定化させるという循環

といったことを書きました。まさに再開発の必要性を後押しするような書き振りなわけですが、一方で「どこまでやるか」「どうやるか」について私は以下のような価値循環を踏まえることも大事だと考えています。

筆者講義ノートより

上の図では、投資すれば需要は後からついてくるという発想で投資回収の見込みも考えず拙速な先行投資をすることはかえって地域の魅力と価値を低下させる原因になりうる、ということです。むしろ人口や社会構造が変わった現代においては、まずヒトモノカネの循環を埋め込みその結果起こるキャッシュフローをを回収源泉として投資をするような「余地の残し方と循環を考えた時間軸」を考慮することが大事ではないかという対比を示しています。

アップタウンとダウンタウンが鮮明でないミッドタウン型地域での再開発は・・・

加えて、東京や大阪の超都心のようなダウンタウン(繁華街、商業集積街、CBD… )とアップタウン(住宅街)がある程度鮮明な場所ではその集積の程度や密度を高めることは一つの選択かもしれません。
ただ、「ミッドタウン」的な職・住の区域や機能の混在しているような都市で超都心モデルを引用することは元々混在することで得ていた地域の機能的な特徴や恩恵が消されてしまう可能性もありそうです。
冒頭の麻布や高輪は地域で小さな経済が循環していたアップタウンエリアのダウンタウン化による弊害という見方もできそうです。

自分の記録的にツラツラと書きましたが、結局一つの考え方を示すという域をでる記述でもなく、じゃぁ具体的にどうすればいいのかを示すこともない呟きでしたが、フードデザートという「問題」を認識することで、再開発にあたってどこまでやるか・どんな手順でやるかを今一度考えておきたいなということで。今回はおしまい。

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