考えていること以外の世界を均一にする

「ネタを見つけて書くまでのプロセスを知りたい」

そんなことを友人に言われた。

僕は別にブロガーでもないし、ライターでもないのでそう言われてちょっと驚いた。同時にそんな風に思ってくれるのは嬉しくもあって、自分の頭の中を振り返ってみた。が、どう考えても僕は常に頭の中がとっちらかってしまうタイプだ。

例えば、こんな感じだ。

文章を書いている。視界の片隅でヒラリと洗濯物が揺れた瞬間に「乾いたかな」と考え始める。その瞬間、今日の天気が気になり、スマホを開いてしまう。「ああ、今日は一日天気は持ちそうだ」と思った瞬間に、まだ返信していないメッセンジャーのことを思い出す。これじゃダメだと思ってスマホをソファに投げつけて、文章に戻る。

良く言えば仕事や家事などを同時に捌けるマルチタスク脳なのだけど、悪く言えば集中が続かない。書くことに限らず、企画やデザイン作業をするときも同じだ。どんどんと他の要素が頭に入ってきてしまってそれらを無視できない。

だから強制的に目の前のことに没入できる環境を作る。それが僕の一番大切なプロセスだ。ただ、その内容をそのまま書いても面白くないので、僕が大好きなバカボンドから一節引用したいと思う。

その若さにしてこれほどの技の境地 なるほど 生まれたときから耳が聞こえないのだとしたら 己の体と語り合う時間は腐るほどあったというわけか!! 最強最速の剣に近づくために体をどう使うべきなのかを 膨大な時間 誰にも邪魔されぬお前だけの世界で 己の体と隅の隅までと 語り合い 答えを積み上げてきた

このセリフは佐々木小次郎という耳の聞こえない剣士に、巨雲という剣士が放った言葉だ。そして、僕はこれを模倣している。

何も聞こえない状況を作って、その中でひたすら自分の思考と向き合う。実際にはこうなる。

1. 一人になる。話しかけられない=邪魔されない空間に移動する。
2. タイピング音も聞こえないくらいヘッドホンで環境音を遮断する。
3. 一曲を延々とリピートする。2〜3時間は優に同じ曲を聴いている。

僕はこの曲を延々とリピートすることを一番大切にしている(他は多分ほとんどの人が一緒だと思う)。思考が散らかりかけても、曲がまたはじめに戻ることで、不思議と思考も一緒に戻ってきてくれる。そうして、思考以外の世界が均一になることで、自分だけの世界ができる。ようやく、目の前の一つのことに集中できる。

なのでオフィスに音楽が流れていてもヘッドホンしてしまうし、ランダム再生とかは本当に辛い。あとは家で作業をしていて気づいたら隣に妻が立っていて大声を出してビビるということも日常茶飯事だ。幽霊に出会ったかのように驚いてしまうので、嫌な顔をされてしまう。

でもそういうゾーンに入ったときは、このnoteのタイトル画像のように一色の世界の中で、対象物しか見えていなくて、とても気持ちいい世界だ。だから作る時間は大好きで、いつまでも辞められないのだと思う。

書くプロセスとは若干脱線したけれど、こういう感じで僕は日々書いている。友人にはあまり参考にならないかもしれないけど。

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