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人生やり直せるとしたら、なんて言われた話

人生一度だけやり直せるとしたら、いつに戻る?

そんなことを友人に言われた。僕が思わず「うーん」と言葉を詰まらすと、彼は「あ、やっぱりいいや。後悔は先に立たずだよね。」と慌てて補足し、話題は次に移ってしまった。

僕はそれを考えることが無駄とは全く思っていなかった。むしろ、というか実は即答したいくらい強い希望がある。

でも、なぜそれならノリノリでそのことを話せなかったのか。

それは、もし戻れたとしても、あの時の自分が今の自分が希望する選択肢を選べるのか自信がないからだ。そう気づいたのは、彼とは解散した後だった。

人は選び切ることができなければ後悔をする、と僕は思っている。

選び切るとは「選ぶ」と「全うする」という意味で、チャンスが巡ってきたとしても、有益な情報がもたらされたとしても、それを価値あるものと判断して自分で選べるかどうか。そして、それを全うできるかどうか。

選ぶだけでは足りなくて、全うできなければ、それを選べていようが結局はあとあとで悔やむ。全うするのは全力を尽くして終わるなら必ずしも成功しなくてもよい。納得ができればいい。

「人生やり直せるなら」なんて話は、まさに後悔先に立たずなのだけど、今そう考えて、かろうじて、そして少なからず前向きに捉えられているのは、やり直したいポイントが人生の中であったからこそだ。

だから彼の問いは無価値ではないと思うし、一言でもそう言ってあげられたらよかったなと少し反省する。


出張から帰ってきて、ごろりと畳に転がる。
ああやっぱり家はいいなぁ、日帰り出張は疲れるなぁと天井を仰ぎなら、なぜかこの会話を思い出す。

いま、彼はどうしているだろう。何か答えが見つかったかなぁ。

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