颱風

嘘をついたり匂わせたり想像力を膨らませてイマジネーションの世界を構築したりすることは不得手である。そのうえで、「その類の雑記」を試みる。

このところは、非現実の皮を被った超現実に現実を侵され、意味をつけることを避けるべき日常サイズの非日常の娯楽が日常を盛り上げ、身体の気圧を乱高下させる日々を過ごしている。

長けている人と出会ってからというもの、連日、中央線の西寄りでお喋りな渋谷系おままごとを繰り広げているのだが(長けている人の演技力はカンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞する程度のものであるが、万年名誉三流助演女優賞ノミネートの自分はといえば、うろ覚えの台本を思い出しながらニヤニヤ台詞を絞り出すことしか出来ない)、自分自身の根強い西多摩バイブスが耳元でそれちょっと西多摩の公務員的にはアウトだわ、現実見さらせクソが、田村酒造の酒樽に沈めたろか、等と囁いてくるので、そろそろ真面目に自分の家の掃除やいくつかの固く絞められた他者との法的な結び目を解くことについて具体的なアプローチをかけていかなければならないというプレッシャーに押し潰れながら少しだけ上手い口笛を吹くなどしてその場を誤魔化す、などして、深刻な顔で足踏みをしまくって筋肉痛で入院間近のところまで、きているのだった。

ちなみに長けている人の長けている点をひとつ挙げるとすれば、セックスの最中に談笑しながら下半身はキープ・ユア・スマイル、課すように置かれた、ベッドからそこそこ遠いところのコンドームを取りだして定位置に戻り大道芸人のバルーンの扱いのごとくスムーズにそれを装着、的確な箇所に的確の具合で、そして的確なところで愛の言葉とともに体液を放つ、ところである。

ところである。じゃねぇよ。

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