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25歳独身♀、素振り始めました。

 大阪からやってきた小娘に唆され、サブカル陰キャがゴルフを始めた。

 おばちゃん5割、おじちゃん1割、つまんない若者3割、ステキ女子1割の我が職場に、大阪の小娘がやってきた。
 小娘といっても私より4つ歳上、立派なアラサーお姉様。大阪の小娘とか言ってたら普通に二の腕とかつねられる。
何故に小娘と表すか。

 第一に歩き方が若い。若いというかおかしい。普段は普通に歩いているけど、オキニの人影を見つけるとガニ股で肩を上げ、藤子不二雄の描く悪ガキみたいな歩き方で廊下を走ってくる。
 そしてノリが軽い。おじちゃんにもおばちゃんにもすぐタメ口を使う。ボーナスが出れば自分の明細を公開するのはもちろん、気難しいうちの麻酔科のボスにもボーナスの開示を迫っていた。
「センセ〜!ボーナスいくらやった?!」
と小娘に詰められるボスは、意外に嬉しそうだった。変なの。
それにクラスの悪ガキ顔負けに会議中の私語が多いし。いくら不毛な会議でも、流石にもうちょっと聞いてるふりをした方がいい。
 そして最後に普通に顔が若い。これ言うと喜んじゃうから、ナイショね。

 真面目に誠実、効率よりも慣れ親しんだ安全性、をモットーに日々仕事に励んできた我々は、突然のキュートな不届き面白怪獣の襲来に、カルチャー大ショック。さながらオタサーに突然現れたギャルであった。強い抵抗感を表すオタサー女子部員、秒で籠絡されるオタクおじちゃま。突然の強キャラの出現に、我が手術室は混沌を極めた。

 かくいう私も、オタクに優しいプリプリのギャルに騙されぬよう沼地のほとりで高みの見物を決めていたが、いつの間にやら沼地の真ん中でタップダンスである。

は?

 抽象派を履き違えた例えはさておき。そんな彼女が仕事以外に心血を注ぐのが、ゴルフである。月4でゴルフ場へ繰り出しては、金持ちのお兄さんにぶりっ子して良い車に乗せてもらっているらしい。ふてぇギャルだ。
 そんなこと言いつつ、彼女のコーチ曰く、家では素振り、レッスンは真面目に、休日は殆どゴルフに捧げているらしく、なかなか努力家であるらしい。ストイックなギャルが好みの私としては、どストライクである。

 そんな彼女に唆されて3ヶ月。ついに近所のゴルフスクールの門戸を叩いてしまった私。これから一体どうなっちゃうの??

とりあえず、毎朝のラジオ体操を、素振りに切り替えることに。
初夏の暑さも程々に、梅雨がやってきますね。

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