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ノンシュガーティ

夏の連休を返上してやっと取れた連休
秋の名月を見上げながら
私は一人ベランダに出ていた

いつかは使うだろうと
ベランダにほったらかしていた机を掃除して
赤いテーブルクロスを敷き
温かい紅茶とキャンドルを置いた

少し寒いのを我慢して
ぼんやりと丸い月を眺めていた

冷たい空気の下
こうしてゆっくりと夜空を見上げるのは
いったい何時以来なのだろう

ぼんやりと記憶を呼び起こした私は
浮かんできた過去にクスリと笑みをこぼし
乾杯
そう呟いて紅茶に口をつけた

私にこんな夜の楽しみ方を教えてくれた貴方は
今頃なにをしているのだろう

噂じゃ喫茶店経営をしているとか
ただの会社勤めだとか

きっと貴方のことだから
どんな仕事も楽しんでいるわよね

となりにいない今のあなたは
今も空を見上げていますか?

ひとりでですか それとも――

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