【ゲーム感想】令和にプレイした初代「ワイルドアームズ」は、SFC時代に築かれた2DRPGの集大成と呼べる傑作だった

【総プレイ時間】


40時間ほど

【評価点】


・使いやすいUI


▶特にPS1のゲームでありながら、既にフリック入力を取り入れている点は非常に良い

・テンポの良さ


▶PS1は光ディスクということもありロードの遅いゲームが多いが、本作はロードが早く、とてもテンポが良い
▶建物の出入りがシームレスなのも素晴らしい

・パーティメンバーのキャラがしっかり立っている


▶それぞれのメンバーにきちんと見せ場があり、パーティの団結力が感じられる
- 特にロディが単なる無口主人公ではなく、無口であることにきちんと理由付けがなされている点がとてもよい
▶システム上でも、ロディの特技が弾数式だったり、ザックの特技は全てイベント習得だったり、セシリアの魔法はアイテムで自由習得だったりと、王道の中にきちんとオリジナリティがあり、かつキャラクター毎の差別化がしっかりとされている

・丁寧な台詞回し


▶先頭メンバーによって変化したり、細かなイベント進行度によって変化する台詞もあり、楽しい

・ダンジョンの豊富な謎解き


▶ゼルダシリーズをパクr……もといリスペクトしたギミックが、各ダンジョンに設置されていて、解くのが楽しい。
▶使用するアイテムもボム、ブーメラン、フックショット等、ゼルダシリーズでお馴染みのものばかり。
 ゼルダが好きなら、本作のダンジョンもきっと楽しめるだろう。
▶特に3人を別々に操作する仕掛けは、「ゼルダ4剣」を先取りしているようで面白い

・丁度いい難易度調整


▶簡単だが単調になりすぎない、丁度サクサク進められるくらいの難易度

・現代でも通用するグラフィック


▶PS1のゲームでは、当時の最先端技術である3DCGを無理矢理使おうとしたものが多く、現代の感覚からは拙く見えるローポリが多い
▶しかし本作はPS1初期ということもあり、2Dドットがメインで、3DCGはバトル中の最小限に抑えられている
▶そのためSFC末期から正統進化した、現代でも通用する良質なドット絵が楽しめる

・王道でありつつも、きちんとオリジナリティのある世界観


▶単なるありがちな終末モノだけではなく、西部劇の要素が取り入れられていたりと、しっかりと独自性がある

・終盤以降も、お金の需要が保たれる


▶本作では終盤装備が一通り揃った後も、アーデルハイド募金とアーム強化で多額のお金が要求される
▶そのためRPGでありがちな「終盤以降に装備が一通り揃った後、お金の使い道が無くなってダダ余り」という事態が発生しにくくなっている

【賛否両論点】


・ダッシュがゼルダシリーズの「ペガサスの靴」のような挙動


▶独特で面白い反面、移動手段としてはいささか使いにくい

・次の目的地が分かりにくい箇所がある


▶この時代のRPGでは珍しくないことであり、現代では攻略サイト等を使えばケアできるため、許容範囲内ではある

・魔法「ラッキーシュート」の効果についてゲーム内で一切説明されない


▶強力な効果にも関わらず、ゲーム内の説明には「…!?」としか書かれていないため、その効果に気付きにくい
- 一応、未知の魔法の効果を自ら探っていくという楽しみ方はできる
- ただし本作の魔法はほとんどが作中で効果を確認できるため違和感がある

・序盤からテキスト量が多い


▶序盤に図書館が置かれており設定解説のテキストが多数用意されているが、専門用語や独自の世界観・神話など、明らかにゲームを始めたばかりのプレイヤーが一度に覚えられる量ではなく、混乱しやすい。もう少し小出しにしてほしい。
- 後のイベントでもう一度立ち寄ることとなり、その時には一通り内容が理解できるようになっている。そのため、最初に訪れた時点では内容を深く理解する必要はない。
- しかし、本の中には魔法についての解説など初心者向けの情報も含まれており、一貫性が無い。結果的にすべての本を読むことになりやすい。

・BGMの使い回しが多く、バリエーションが少ない


▶特に「通常バトル」「ボスバトル」「ダンジョン」のBGMは使い回しが多く、何度も聴くことになる
- 曲の出来そのものは決して悪くないが、気になる人は気になるだろう

・パーティメンバーが3人で固定されており、新たな仲間と出会うことが無い


▶メンバーが少ないからこそ、それぞれ明確に異なる役割を持ち、キャラが立っている部分もある
▶また魅力的なNPCは多数用意されているため、プレイアブルキャラクターが少なくて孤独感を感じるような事は少ない

ーーーここから微ネタバレ注意ーーー

・シナリオ上不自然な点


▶身分云々で仲間にすることを断ったのに、髪を切っただけで納得するザック
- 同じく断髪シーンのあるFF9では、髪を切るまでの過程が丁寧に描写され、説得力あるものだった
- 本作は髪を切るまでの流れも、切った後の流れも、やや唐突すぎる
▶あるキャラクターが負傷するシーンで、薬草や回復魔法で対処できないことが明示されていない
 (そのキャラクターに薬草や回復魔法が効くことは作中で明示されており、その怪我に対しても、当初の反応から応急処置ができそうなことが示唆されていた。
しかし負傷後は「博士の所に行かなきゃ!」で有耶無耶にされており、回復魔法での応急処置を試す様子などが見られない。)

ーーー微ネタバレここまでーーー

【問題点】


・アイテムの持ち替えが面倒


▶ゼルダのように2つのアイテムを登録しておくことができず、2つのアイテムを交互に使うような場面では持ち替えが面倒
― 背面ボタンが余っているので、そちらにアイテムを割り当てられればいいのに

・敵の情報を調べる魔法「アナライズ」が、ボスには無効化される


▶敵の情報が最も欲しいはずの場面で使えないため、使い道が極端に少なくなっている
▶また、それによりゲーム内でボスの弱点を知る手段が無いため、属性の存在意義が薄い
- 弱点でない攻撃魔法を使うくらいなら、「ハイパー」「アーマーダウン」等の優秀なバフデバフを使ったほうが効率が良い

・全体攻撃を使う場面が極端に少ない


▶ボス戦ではほぼ全てのボスが単体であり、複数体で登場するボスは「ブーメラン&ルシエド」のみ
▶そのため全体攻撃の使い道がほぼ雑魚戦しかなく、雑魚戦で使うには過剰火力で燃費が悪いので結局使い所が少ない
- 先述の通り、ただでさえ攻撃魔法の使い所が少ないので、全体攻撃魔法は特に悲惨
▶また、ボス戦でどの敵から倒すかといった駆け引きが無いため、ボス戦が毎回同じ展開で単調になりがち
▶もっと複数体のボス戦を増やしてほしかった

・取り返しのつかない要素

▶ARM等、一部の重要アイテムやスキルが、クリアすると二度と入れなくなるダンジョン内に置かれており、救済措置が無い
▶中には通常プレイでは気付きにくいものもあるため厄介

【総評】


ストーリー ☆4
演出 ☆5
キャラ ☆5
育成 ☆5
マップ ☆5+
バトル ☆5
音楽 ☆4
グラフィック ☆5
UI ☆5
ロード ☆5+
テンポ ☆5
※各5点満点、「☆5+」は特に良かった項目。

2DドットRPGの集大成と呼ぶに相応しい作品
現代でもその面白さは色あせておらず、強くオススメできる名作

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