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『クリュセの魚』を読む

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東浩紀『クリュセの魚』を精読する。現在時において小説を読むことを意識しつつ、虚構の表現が私たちの生を取り持つ可能性を示す。
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#語り

『クリュセの魚』を読む⑤ 否定形の正史

『クリュセの魚』を読む⑤ 否定形の正史

彰人が決断したのは選択しないことである。それは語りの現在時からにおいて、歴史の正しさを否定的なしかたで肯定している。しかしその語りの時間は母の孤独を語ることで未来の時間に開かれている。

④ 天皇(制)の明日に

†選ばないこと栖花と麻理沙はお互いがそれぞれの存在の可否を賭けたダブルバインド状況によって危機に陥っていた。それは危機的状況にあって出来事を選択できない生の悲劇である。ここで母と娘は選択

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