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この記事は、知財情報老舗サイトであるパテントサロンの「知財系 もっとAdvent Calender 2021」イベントに関連する記事です。

「しもも 時々 しもしも(下出 一)」さんからバトンを受け取りました。

突然ですが、私の好きな漫画の一つに冨樫義博先生の「HUNTER×HUNTER」があります。(そういえば最近新刊出てないですね。)

特に読んでいてワクワクするのが、人類が暮らしている世界が実は巨大な湖の中の一部に過ぎなくて、湖の向こうには人類未踏の暗黒大陸が広がっているというくだりです。

こんなやつです。

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私視点ですが、知財の世界でも同様のことが言えます。

私は大学を卒業してすぐに知財の世界に入り、官公庁、事業会社、コンサルティング会社と渡り歩き、いずれでも知財に関わった仕事をしてきました。

知財業界での知人も多く、一通りの知財関係の仕事を経験/見聞きしてきたように思っていました。

しかし、ここ数年、実は私が知っている知財の世界はごく一部に過ぎなくて、その向こうには広い世界が広がっていることを知りつつあります。

今回は、私が少し知り始めた”知財マーケット”についてお話させていただきたいと思います。


知財マーケットとは何か

上述した「HUNTER×HUNTER」の世界観に合わせて知財の世界を表現するとこのようなイメージです。

(※あくまで私の主観です。)

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知財マーケットは、固い表現だと「知的財産取引市場(intellectual property transaction market)」と表されます。

”知的財産を移転する市場であり、「知的財産の売買」と「ライセンス供与」を行うことが主な目的になります。

知財マーケットが日本国内で閉じたマーケットではなく、世界中に広がるマーケットになることも、上述したような図のイメージに繋がっています。


知財マーケットの例

様々な知財マーケットのプラットフォームがが世界中に存在しますが、日本国内だと例えば以下のようなものがあります。

INPIT解放特許DB:特徴は、未公開特許も登録できることと、大学や中小企業の登録割合が高いことです。

知財図鑑:特徴は、技術の魅力や価値を動画や画像をふんだんに用いて分かりやすく示していることです。”価値を伝える”ことに力点を置いているという点で類似サービスがぱっと思いつきません。

Tokkyo.Ai IPマーケットプレイス:特徴は、商談がプラットフォーム上で行えることです。洗練されたホームページも素敵ですね。


知財マーケットに関係するプレーヤー

知財マーケットには様々なプレーやーが絡みます。

・知的財産のライセンスを受けたい企業

・知的財産を売却したい個人や大学、企業

・知財マーケット等プラットフォームの運営者

・仲介役を務める知財ブローカー


知財マーケットの活用方法

多くのプラットフォームがありますが、基本は、知財を収益化したい者が自身の持つ特許等の情報を登録して、利用希望者を待つというスタンスになります。

プラットフォームによっては、知財の売り込みのサポートなどがある場合もあります。


知財マーケットの活用の難しさ

知財マーケットをうまく活用するには、売り手にも書い手にも知財ならではの難しさがあります。

売り手の難しさとしては、知財の価値を伝えるためには多くの労力をかける必要があることです。

・知財が対象とする市場が大きい/ 大きくなる見込みであることを客観的に示すことで希望価格の妥当性を示す必要があること

・知財がカバーしている権利範囲が必要な範囲をカバーしていること

・特許権などであれば無効理由がないこと(特許庁の審査は絶対ではない)

一方、買い手の難しさとしては、売り手の裏返しになりますが、知財の価値を正しく判定するには多くの労力をかける必要があることです。

つまり、売り手と買い手の少なくとも一方が大きな労力を払う必要があることが知財マーケットを介して取引を成立させることを困難にしています。


知財マーケットの上手な活用方法の提案

一つ有効な手立てとして、新規事業を立ち上げへの活用が挙げられます。

事業ネタを考えてから活用できる知財をマーケットで探すよりも、マーケットで条件次第で利用可能な特許を基に事業ネタを考える方が圧倒的に楽です。

近年は、企業の他に大学でも特許の解放は進んでいます。

例えば、徳島大学などでは、実施料無料期間を設け、知的財産の無料開放を進めています。

知財マーケットで解放されている特許をネタに事業ができないかと構想を練ってみることは事業構想において有効です。

検もしうまく開放されている特許を活用できなかったとしても、検討の過程で随分と事業構想は具体的に練りこまれていくはずです。

以上、とりとめもない話でしたが読んでいただきありがとうございました。

それでは、「Masahiro Shimoda」さんへバトンをお渡しします。

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