志水克大

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ビジネスプロセスの自動化に取り組む傍ら,ビジネス上の課題を哲学や科学の階層から捉えるのに役に立つ情報の発信をしています.専門はシステム論.究極の関心は,社会システムと技術システムを統合したシステムのデザインおよび実装にあります.

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  • 異端の科学コミュニケーター

最近の記事

複雑系への適応として見る「なめ敵」とPlurality

「なめらかな社会とその敵」(以下、「なめ敵」)とPluralityとの関係について自分なりに考察した内容を以下に簡単にまとめます。この記事で、「なめ敵」は鈴木健氏が著書「なめらかな社会とその敵」[1]の中で展開している思想を指します。Pluralityは、Audrey TangとGlen Weylらが立ち上げたRadicalxChangeが啓蒙している思想を指します。Pluralityの思想の詳細については、Audrey TangとGlen Weylの共著(以下、Plural

    • SciCom in Action: 部分組織の共進化として見る民主主義とWeb3

      民主主義の危機や民主主義の失敗といった言説を目にすることが増えてきました.中央集権的な国家の方が民主主義的な国家よりも経済成長率が高いという主張もされています[1].中央集権や民主主義といった統治形態の優劣について様々な議論がされていますが,統治形態の優劣を評価することはできるのでしょうか.ここでは,社会をシステムとして捉え,複雑系をなす環境に適応的なシステムの進化という観点から,システムの統治形態について考えてみたいと思います.複雑系をなす環境に適応的なシステムについては,

      • SciCom in Action: DXとは何か② - 複雑系への適応としてのDX -

        前回は,社会全体を複雑系として見る世界観の重要性が増しており,複雑系をなす環境に適応して生き抜くためには,変化と安定を両立させてシステムの適応力を高めることが重要というお話をしました.それでは,変化と安定という相反する2つの性質をいかにして両立させればよいのでしょうか. 複雑系をなす環境の中で変化と安定を両立させている複雑なシステムには,普遍的な特徴が見られます. 1つ目の普遍的な特徴は,階層性です[1].階層性は,ありとあらゆるシステムに見られます.社会システムの中では

        • SciCom in Action: 科学コミュニケーションとは何か

          日本科学振興協会(Japanese Association for the Advancement of Science ; JAAS)の第1回総会・キックオフミーティングが開催中(会期:2022年6月18-24日)ということで,Twitter上でも科学コミュニケーションに関する議論が増えているようなので,筆者が考える科学コミュニケーションについて少しまとめておきたいと思います. 筆者は,日本科学未来館で科学コミュニケーターをしていたこともありますが,現在の本業は企業におけ

        複雑系への適応として見る「なめ敵」とPlurality

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          SciCom in Action: DXとは何か① - 複雑系への適応としてのDX -

          マガジンを始めるに当たって,このマガジンに掲載する記事に出てくる概念に関する記事を投稿していきたいと思います.これらの記事は,デジタル化を進めるに当たって弊社の経営陣向けに作成した勉強会資料をベースにしたものです.ビジネスの現場で科学コミュニケーションがいかに機能しているかを知る資料としても参考になるものと思います. 早速ですが,デジタル技術の価値とは何でしょうか.多くの日本のメディアでは,デジタル技術は生産性向上や効率化の手段として報じられているのではないでしょうか.

          SciCom in Action: DXとは何か① - 複雑系への適応としてのDX -

          このマガジンについて

          はじめまして.ビジネスプロセスの自動化に取り組む傍ら,Twitter上で社会と科学技術との関わり合いについて情報発信をしています.哲学やシステム論から見た場合に社会問題や最先端技術をどう捉えることができるかについて呟くことが多く,大学の先生や専門家の方々にもフォロー頂いています.このマガジンでは,Twitterでの呟きに対する反応を見て,特に関心が高そうなトピックを中心に掘り下げた記事を掲載していきます. 日本科学未来館で科学コミュニケーターをしていたときの経験や,現在取り

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