このマガジンについて

はじめまして.ビジネスプロセスの自動化に取り組む傍ら,Twitter上で社会と科学技術との関わり合いについて情報発信をしています.哲学やシステム論から見た場合に社会問題や最先端技術をどう捉えることができるかについて呟くことが多く,大学の先生や専門家の方々にもフォロー頂いています.このマガジンでは,Twitterでの呟きに対する反応を見て,特に関心が高そうなトピックを中心に掘り下げた記事を掲載していきます.

日本科学未来館で科学コミュニケーターをしていたときの経験や,現在取り組んでいるビジネスプロセスの自動化の経験から,多くの要素が複雑に相互作用する複雑系をなす外部環境に適応するためには,これまで科学を支えてきた要素還元主義的なアプローチだけでは難しいということを痛感しています.

人類はこれまで世界観を自ら変革することで環境への適応力を向上させてきたと言えます.20世紀には相対性理論や量子論が生まれ,人類は,マクロ側の極限とミクロ側の極限に対する世界観を大きく変えてきました.そうした理解が,今日の産業を支え,20世紀の間に地球上の人口は大幅に増えました.人類の長い歴史で見れば,戦争や飢餓,疫病で亡くなる人の割合は大幅に減りました.

I think the next century will be the century of complexity

Stephen Hawking

一方で,デジタル技術によって人や機械を繋ぐネットワークが巨大かつ密になっていくことで,人類は未だ経験したことのない途方もなく複雑性の高い社会の安定性を持続的に維持しなければならないという試練を迎えていると感じています.

日本科学未来館を退職する際に当時館長をされていた毛利衛氏から頂きました

その試練を乗り越えるためには,宇宙から地上を見るような視点が必要だと考えています.宇宙のような時空間スケールの大きな階層から地上のような時空間スケールの小さな階層を見るということです.宇宙から見れば地上の細かな様子は見えないかもしれませんが,地上では見えない地球の姿を捉えることができるように思います.

宇宙から地球を見れば世界観が一変するように,時空間スケールの大きな階層から見ることで現実世界の異なる姿を捉えることができると考えています.複雑な現実世界に対峙してビジネスプロセスの自動化に取り組む中で,そうした世界観そのものを変えていくことが今まさに必要とされていることだと実感するようになりました.

そうした背景から,Twitterでは,哲学やシステム論などの時空間スケールの大きな階層から見たときに,社会の中で起きている事象や最先端の科学技術がどう見えるのかについて,複雑な現実世界に対峙する中で気づいたことを呟いています.複雑な現実世界と日々対峙して格闘している人たちの一助になれば幸いです.

参考までに,最近呟くことの多いトピックを本記事の最後に挙げてあります.究極の関心は,社会システムと技術システムを統合したシステムをいかにデザインして実装するかにあります.そのため,システム論や複雑系,自己組織化に関する呟きが多いです.

  • 複雑系への適応としてのDX

  • web3が目指すDAOなる自己組織化

  • 複雑系としての生物システムと情報システム

  • 一般システム理論 (Ludwig von Bertalanffy)

  • サイバネティックス (Nobert Wiener)

  • システムの科学 (Herbert Alexander Simon)

  • ループ量子重力理論 (Carlo Rovelli)

  • Network as Processes (John Carlos Baez)

  • 自己組織化と束縛閉回路 (Stuart Alan Kauffman)

  • ベルクソン哲学 (Henri-Louis Bergson)

  • Actor Network Theory (Bruno Latour)

  • デジタル民主主義 (Audrey Tang)

  • サイバー文明論 (國領二郎)

  • 圏論

  • グラフ理論

  • ランダムグラフとE/N比と相転移

  • 複雑系とスピングラスと深層学習

  • 複雑ネットワーク

  • 東洋思想

  • 仏教哲学

  • モジュール性とインターフェースの標準化


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