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Buen Camino! 『Day3: Redondelaへ』


2023.4.19-30 のCamino ポルトガルルート(Vigo起点)についての記事をまとめています。
スペイン語が話せない私の、気ままな一人珍道中。Camino Familyとの出会いと経験で、人生を見つめ直すお話です。




私が進むべき道は、私が信じる道

いよいよ今日からVigo の街を起点にカミーノウォークが始まる。

朝6時に起きて荷物整理。

何が歩きの過程で必要なものなのか、整理していたらまとまらない。取り敢えずシャワーを浴びる。

スッキリしてのんびりしたら7時半になってしまった。


今回のカミーノは、私の初カミーノ。さらに一人旅。誰にも頼れない。そう思い、欲張らずとにかく歩くことだけを達成することにした。
そのため、次のホテルまで大きな荷物を運んでくれるサービスを事前に契約した。

運んでもらう荷物は、朝8時までにフロントへ預ける必要がある。

慌てて荷物を整え、フロントへ行き荷物を預ける。
そのまま、朝ごはんをいただく。

朝食会場には、すでに巡礼者らしい服装の人たちが集っている。
一人ぼっちは私だけ。他はみんな二人から四人のグループだ。男性グループまたはカップル。

取り敢えず、「オラー」と元気に笑顔で挨拶して座る。地球の歩き方には「どこでも挨拶を忘れずに」とあったから、その教えを守る。

4人グループの方からお声が掛かる。
「カミーノ?英語わかる?」と聞かれて、お喋りスタート。
何度も「えっ日本から?一人なの?本当に完全に一人なの?初めてなの?」と変わるがわるに聞かれ、そのやりとりを聞いた近くの人たちにも驚かれる。

事前調査では一人も多いと聞いていたが、シーズン始まりが4/15らしいから、まだ始まりたてでグループが多いのかもしれない。「私だけ一人かぁ、ちょっと寂しいなぁ」と思う。

もう何度も歩いているという人たちでさえも、今回もグループで歩くという。初めてなのにソロの日本人女性に驚ろいたのだろう。周りの関心が集まる。
「一人でも大丈夫って聞いたから…」と苦笑しながら伝えると、「あぁ大丈夫!大丈夫!黄色い矢印を追うだけだから♪」と教えてくれる。

「いやいやその黄色い矢印を、まだ見つけられてないんだが…」と心中で大爆笑してしまった。

朝食会場を出る際、おしゃべりした人たちの中で一番経験あり、詳しそうな4人グループに質問する。
「Vigoからのカミーノの道は沢山あるみたいなんだけど、アプリやネット上の地図事に全部違うの。どこに行ったらいいかな?」と聞くと、「簡単だよ!」と全員が一斉に見せてくれる地図はどれも微妙に違う。

「ほら、これもあれもそれもちょっと違わない?」と聞くと、「気にしなくて大丈夫!黄色い矢印あるからその通りに!簡単だし絶対迷わないよ!」と強く言わるが、そう言われれば言われるほど不安になる。
でも、四人グループなのにみんな違う地図っでいいんだ…と、よくわからない安心感も湧き。
「うーん、どうしたものか…」と答えのない状態に陥る。

僕たちはこのルートで行くよ。と昨日、私が黄色の矢印を見つけられなかったルートを指している。

しばらく考えて、
「結局自分の道は自分で選ぶしかない」
そう覚悟して、私は別のルートで行く事を決意する。

部屋に戻り、改めて行くぞ!の意を決して出かける。
が、出がけにやっぱり念の為ロビーの方にももう一度ルートについて伺う。

8:40ホテルを出発。

地図を見ながら20分ほどあるいたが、カミーノらしきところについてもなんだか様子が違う。

そのキョロキョロする様子を見た、現地のお婆さんが、ジェスチャーで「あっちだよ」と教えてくれる。

「グラシアス」と伝えてまた地図で確認。どうやら一つ道を間違えたようだ。


「どうやらココらしい」と、確信しつつカミーノに入る交差点に立っていると、「カミーノはここよ、こっちよ」と小さなリュックを背負った女性が教えてくれた。そのまましばらく同じ方向を進むので、「カミーノ?」と聞くと、「そうよ!」と英語で答えてくれた。

一気にホッとする。

「黄色い矢印が有るって聞いたけど、どこにも見当たらないの。街中どこにも全然見つからない」と、ぼやく。「えっ、あちこちにあるわよ、ほらそこに!」と教えてもらった。
私にとって初めての黄色い矢印は電柱に貼っている小さな小さなシールだった。「ええええええええ!こんなに小さいの!これじゃ絶対に見つけられない」と大爆笑してしまった。

初めて見つけた黄色の矢印


「サイズは色々あるわよ、ほら、そこにも、あそこにも!」というが、どれも教えてもらわなければ私には見つけられなかった。
詳しく教えてもらって、ようやく、「本当だ!どこにでもあるね!」と感動する。

それにしても、電柱だったり、壁だったり、地面だったり、石碑だったり、いろいろだ。

「これも?」と道路工事現場の黄色い矢印について聞くと「それは違うわね…多分」という。
「やっぱりよくはわからないわね」と二人で笑う。

仕事の話やら、家族の話やら、人生観の話やら、色々話しながら一緒に歩く。

「カミーノファミリーだから一人でも寂しくないのよ。こうやっておしゃべりも楽しいし、一人の時も楽しいわ。あなたはどうしてカミーノに来たの」と。
「自分探しよ」と答えると、
「私もよ」と彼女がいう。

二人とも子供が巣立ち、さて『私のための時間』として自分を見つめ直す旅を選んだ。二人とも今回が初めてのカミーノ。

クレアと共に

「なぜポルトガルルートにしたの?」と聞くと、
「ポルトガルが大好きだから。フランスルートは私にはハードすぎて無理だと思ったから」

ヨーロッパ人にとってポルトガルはよく旅する場所らしい。誰もがこのルートを選んだ理由を「ポルトガルが好きだから」という。

「あなたは、なぜポルトガルルートにしたの?」と聞かれ、「日本に最初に到着した外国人がポルトガル人だから来てみたかったの!」と答える。
「最初に来た外国人!」と彼女が驚く。

「”ポルトガル人が長崎へ〜、エッサカエッサカ♪”って言うカステラのコマーシャルソングもあるのよ!」と彼女が知るはずもない日本のコマーシャルの歌を歌う。


「カミーノは一人でも寂しくないの」リスボンから歩く彼女が教えてくれる。
「カミーノを共にする全員がカミーノファミリだからね。誰でも優しくファミリーとして接してくれるわ。それにね、一人もさみしくないの。一人で歩くと自分と向き合えてそれも素敵よ。私も初日不安だったの、でもカミーノファミリーが沢山いろいろ教えてくれた、まさに黄色の矢印の見つけ方とか!」

「そうね、ありがとう!あんなに小さい矢印とは思わなかったから、助かったわ!」と答える。

そのまま仕事の詳しい話、自分自身が大切にしている考え方など、徐々に話す内容も深くなる。

滝の水の給水所

初日はクレアのおかげで、おしゃべりに没頭した。あっという間に目的地【Redondela】に到着。

ピルグリムメニュー


街の入り口にはカフェがあり、多くの人が集まっていた。

コーヒー休憩しようと、二人でテーブルに着いた。
その時だ、「おーついたね!初日おめでとう!心配してたんだよ!君の姿がどこにも見当たらなかったから!」と、今朝、ホテルでルートを聞いた、四人組のイギリス人男性が大きな拍手をしてくれて、周りのカミーノファミリーもつられて拍手で祝福してくれる。

「ありがとう!矢印が見つからなくて苦労したけど、クレアとちょうど出会って助けられたわ!」
「あれ、一人じゃなかったの?」と聞かれ「途中で知り合ったのよ」と答える。

「ところでさ、君名前なんていうの?」と聞かれ、朝はルートに気を取られて、名前も伝えてなかったことに気づく。名前をお互いに交わす。

クレアとランチしようとなり、ピルグリムメニュー13€を見つけて、「このメニューがあるお店ではこのメニューがおすすめよ!」とアドバイスしてくれる。

巡礼者用のピルグリムメニューは、その名の通り、巡礼者用メニュー。他のものと比べると、とてもとても安い。
ピルグリムパスポートを見せて注文すると通る。

ゴールのサンティアゴデコンポステーラ側のレストランのピルグリムメニューは知っていたが、他にもあると知って嬉しくなった。

ここのピルグリムメニューは、ディッシュを2種選べたので、イベリコ豚のコロッケとタコのガルシア風にした。
デザートとコーヒーもついている。
そして、ビールは€2-3、どこでも安い。

イベリコ豚のコロッケ
タコのガルシア風
カスタードプリン

食事が終わり、Caminoルート沿いにあるアルペルゲに泊まるクレアと分かれて、ホテルへ向かう。

Redondelaのホテルへ

今回、事前のホテル予約は家族から提示された条件。日本を旅立つ前にホテルを予約していた。

ホテル予約にはCamino.wayを利用。
ほとんど調べずに、パッと見つけたこのサイトを頼りにした。

今回のホテルはルートから離れたとこにあるホテル。
街中から外れて、トンネルをくくって街ハズレに向かう。

地図上の場所に到着したが、見当たらない。ホテルがあるだろうと思われる場所には、『Disco』の看板しかない。

街からホテルへはトンネルを潜る

近くのタパスに行き、ジェスチャーでホテルの場所を聞くと、この建物の裏に入り口があると言っているらしい。
「そこは歩いてきたけど、ホテルなんてなかったわよ」と英語で言うが、まったく伝わらない。

大きな身振り手振りでホテルの入り口を教えてくれている。
しばらくジェスチャーで、「歩いてきたけどそこにはなかった」を何度もジェスチャーを変えて伝えるが、やっぱり、そこにあると言っているようだ。

ホテルはあるらしい。

でもそこへ行く道の説明がいまいちわからない。

はっきりわからないけど『グラシアス』と伝え、ジェスチャーで指差す方向に向かい、薄暗い入り口のお店に入ってホテルの場所を聞いてみると『このビルの裏に、上に上がる階段があるからそこから上に登ったらホテルよ』と教えてくれる。

「確かにちょっと怪しい階段があったなぁ」と思いながらその場所へ行くと、階段の上の壁に黄色のホタテ貝のマークが付いていた。
三階まで登るとドアにホタテ貝のマークが付いている。が、ドアは開かない。

ドアにはスペイン語で張り紙がされていた。

Google翻訳で確認すると『ただ今ちょっと用事があって出掛けています。すぐに戻りますが、御用のある方は電話してください。

電話しても、きっとスペイン語は通じない。

ならば、ホテルをアレンジしてくれたCamino.comの緊急対応の電話番号へ電話を掛ける。

国番号はアイルランドだ。
えええええ⁉︎と不安は募る。「この時間帯はアイルランドの真夜中。これは出ないなぁ、どうしよう」と思いつつしばらく待つと、眠たそうなお姉さんが対応してくれた。

状況を伝え、折り返すのでしばらく待つようにと指示される。

折り返しの電話で、ドアの横の鍵ロッカーを開けるコードを教えてもらえ、『ルーム4』が私の部屋とのことだった。
早速、鍵ロッカーを開けて、鍵を取り、ホテル玄関の鍵を開けて中に入る。

臆病な私は一気に不安に陥る。

怖くなったので、自宅へ一報を入れる。
「ワタシはなんだかとっても恐怖を感じています」

自分の部屋に入り、荷物を片付けた。
大きな窓の眺めのいい部屋。
ベットは三つ。

しばらくするとオーナーの男性が来て、「このシーズン不景気だからダブルワークしてるんだよね!」とにこやかに言う。

「今晩は私一人でここに泊まるのかな?不安だなぁ」と呟いた。
「そんなことないよ、いっぱいくるよ!」とオーナーは言う。
「明日の朝は誰かいるのよね?」と聞くと、気まずそうにする。
「あー僕の仕事が朝からあってね…。明日の朝は自由に冷蔵庫のものを食べて、鍵を元あったところへ入れて出かけてねー」なんて言っている。

悪気ない笑顔で一生懸命に言うから、なんだか許す気になる。

この調子だと、今晩は、管理人も不在のこのホテルに一人で泊まるんだなぁ…。
いやそもそもこれはホテルじゃないよねえ…などと思いつつ、

「OK OK! no warries.(心配しないで)」と告げて、ひとりの夜を楽しむ覚悟をする。

しばらく部屋で休んでいると、おしゃべりの声がドア越しに聞こえてきた。部屋から出て覗くと、オーナーの息子さんとその友達が来ていた、しばらくしてオーナーの奥さんと娘さんが来ていたが、また帰って…。そして誰もいなくなった。

「スペインでホテル⁉︎で全館完全にひとりぼっちを味わえるのもなかなか味わえない経験だ」なんて前向きに捉えた。

周辺散歩に出かけることにする。
自分の部屋のカキばもちろん、ホテルの玄関の鍵も閉じて出かける。

古い城壁跡があるとオーナーに教えてもらったルートを歩く。
すごーく高い城壁と思ったら、低い城壁でなんだか親近感。カワイイ!と一人喜ぶ。

街の中に可愛い銅像や作品が並んでいる。
アートが街中にあり、どれも可愛い。

スーパーで、バナナ2本とビールを買って帰る。€1.49
安い。


ホテルに着いたのは夜8時。まだまだ明るい。
シャワーを浴びてホテルでゆっくり過ごす。

夜8時
夜9時
夜10時

昨日にもまして、日暮が遅い。
ようやく夜10時、日が暮れて夜らしくなった。

この6-7部屋ほどあるこのホテルに、今宵は私一人。

自分とゆっくり向き合う時間にする。
「本当にカミーノを歩いている」
この事実が私を喜びに満たす。
夢じゃない…リアルだ。

そう思うと、このホテルひとりぼっちもなんだか怖くない。日本でのホテル体験とは全く違う、異文化に来たのだと言う証拠。

そう思うと、むしろこの状況が楽しくなった。

自分の状態を客観的に眺めたり自分を深掘りしながら、これから始まる旅への期待が高まる。

「明日は何が起きるだろうか」

深夜に近づくにつれ一階のディスコの音がうるさくなるが、それさえも人々の暮らしを垣間見ているようで、微笑ましく思えるから不思議だ。

高まる胸を押さえて、とにかくちゃんと寝ようと、ホテルのシーツの間に寝袋を入れてぐっすり眠る。

明日はどんな1日だろう。

ウォーキング時間8:40~13:00

おまけストーリー

その1 スペインとは

ホテルオーナーが様々な歴史を説明してくれた。
第二次世界大戦の時のスペイン首相の振る舞いやスペイン内戦の話など、色々聞かせてもらった。彼の話し方はとても面白くユーモアに溢れて楽しい。スペイン人を皮肉って面白く喋る。
楽しく、スペイン国内の文化の違いも詳しく教えてくれる。州でいまだに文化が違う。特に首都から離れるいくつかの州は我々は〇〇だ(スペインではない)と誇示しているし、言語も異なるのだそう。「色々入り混じって一つじゃない、何も決まらない、それがスペイン」と笑って皮肉混じりに笑いながら誇る。
そんなスペインが一層好きになった。

その2 IT業界女性

山道で台湾からの団体さんと遭遇する。
聞けば(確か)10kmだけカミーノを歩くツアーとのこと。
どなたも街着の中にはパンプスの方もいた。
「サンティアゴまで歩くの?」と元気なおしゃれな姿をした女性が話しかけてくれた。
やはり日本から一人を聞いて驚き、「私もいつか一人でしたいと思ってる」と話す。やはりなぜここを歩くのかそんな話につながる。
会社を辞めて迷子になったから自分探しだと伝えると、「辞めたのはどこの会社?」と珍しく現実的なプライベートの話に入り、今回の旅のここに至るまでの質問には「どこの会社」のフレーズがなかったことに気づく。前職の会社名を伝えると、「あー!やっぱり同業種!」と彼女の今勤める会社名を教えてくれた。どうやら同じ匂いがするようで笑、競合ともパートナーとも言える、グローバルIT会社だった。
そこからは仕事の働き方の話がしばらく続く。
自分が成し遂げたいと思っていることを話し、共感をしてもらい、彼女の区間が終わる。
またね!と名刺もFBも何も交換しないままBuen Camino!と別れる。

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