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小説「アルテミス」読了直後の感想

「火星の人」「プロジェクト・ヘイル・メアリー」著者、アンディ・ウィアー長編2作目。

アマチュアだった作者を一気に世界的人気SF作家に変えた長編1作目「火星の人」(火星ぼっちサバイバル!)
そして、2021年を代表するヒット作、長編三作目の「プロジェクト・ヘイル・メアリー」(SS級アメリカ版なろう系大作)
その間に挟まれた形で、どうにも地味に埋もれてしまった「アルテミス」(レビューも少なっ!!)

「舞台が月面都市」と聞いて、なんとなく地味だなぁ…と思ったり、女性主人公というのが、作者の持ち味的に、うーん?とスルーしてしまっていたのですが、「本を読みたい欲」がほどよく高まってきたので日本語翻訳版を上下巻まとめて文庫本で購入。

正直なところ…

下層クラス主人公の一人称小説は、翻訳モノとやたら相性が悪い…
なかなかストーリーに没入できませんでした。


堅物職人肌の父親に育てられた一人娘、主人公のジャズはいわゆるマイルドヤンキー下町っこ。

年齢設定どれくらいなんだろう?
「いやぁ私も若いころは色々とやんちゃしちゃってさー」的なノリをみるに、アラサー?なのかな?

口は悪いし、あれこれ自堕落、周りの大人たちから心配され守られていることにも気づかず反発・反抗し、危ない事に頭を突っ込んでしまう…。
(※ただし地頭は天才クラス。たぶん一度見たら全部記憶できるレベル。しかも腕のいい溶接工の父親仕込みの手先の器用さ。喧嘩まで強い。プロの暗殺者も撃退しちゃう。アンディ・ウィアーは、こういうところ本当になろう系だなと思います)

このキャラ設定に、比較的丁寧語ベースな翻訳が本当に相性が悪い。
これに似た感想は、プロジェクト・ヘイル・メアリーでも感じました。

月面都市インフラの細かな設定、登場するテクノロジーや装置は科学的に地に足がついていて、さすが。
町工場っぽい製造業や、閉鎖的なギルドが牛耳る社会システム、それがスチームパンクっぽい、いい味をだしてはいるのですが、なんだろう… たとえ翻訳がうまくいってたとしても、他の作品ほど高評価はつけられない気がします。 たぶんジャズがそこまで魅力的じゃないからだろうなぁ…。


細田守監督作品「サマー・ウォーズ」をなぜか思い出しました。
あの田舎の、親戚つながりをベースにした狭いコミュニティ。
いい人サイドの大人たちが、才能はあっても色々と未熟な主人公たちをしっかり守ってくれる。

ただしヒロインはヤンキー…。

まぁ、翻訳版で拾いきれない雰囲気とかもあるので、英語版も読んでみようと思います!
なにか面白い発見があれば、note書こうかな。

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