【退職エントリ】3年以上同じ会社にいたことのなかった私が9年間過ごした会社の話
この度、約9年間所属していた株式会社メハーゲンを退職しました。
当ノートでは、入社から退職に至るまでの経緯を振り返ることで、
在籍時に学んだことを備忘録として残したいと思います。
平凡な会社員の自分語りにどれだけ需要があるか分かりませんが、
テレビ東京の「家、ついて行ってイイですか?」を見るような感覚で、
私の人生の一端を楽しんでもらえると嬉しいです。
1.人生なにが起きるか分からない
私がメハーゲン入社時に与えられた役割はシステムの導入サポートです。
当時、社内の新規事業として病院原価計算システムの開発が進んでおり、
営業活動の本格化前に販売後の導入対応ができる人材を募集していました。
しかし、入社して1年、私がその仕事を任されることはありませんでした。
理由は、完成したシステムが全く売れなかったからです。
優秀な諸先輩方が他部署に引き抜かれるなどしてフェードアウトするなか、
引き取り手のいなかった私は社内で1人だけ取り残されることになります。
当時、20代半ばにして3度目の転職だった私は、
1つの会社に3年以上在籍したことがありませんでした。
次こそは辛抱強くやろうと決意の転職をした矢先の出来事で、
人生なにが起きるか分からないと途方に暮れました。
2.自分の将来は自分で決める
ある日、社長から呼び出された私は、
一人で原価計算システムの担当者を続けるか、
別の部署に移るかの選択を迫られました。
このとき、「会社から求められることをします」と答えたところ、
「お前がどうしたいかを聞いているんだ」と叱責されました。
よくよく考えてみると、何の実績もない自分に対して、
何か求めたり、期待したりできることなど何1つなかったと思います。
悩んだ末に「やりきったと思えるまでは続けたい」と答えた私に、
社長は「生活のことは心配せず思う存分やれ」と言ってくれました。
自分の意思で決めたことにより、決意が固まったことを覚えています。
3.考えることを放棄しない
一人体制になって最初に取り組んだのは、システムのパッケージ化です。
病院の要求に応じたカスタマイズを前提にした従来の導入手法では、
売れるようになったとしても、回らなくなることが目に見えていました。
それまで、訪問先で多用していたのが「何でもやります」という言葉です。
改めて振り返ると、良い製品を作る責任を放棄していたのだと思います。
売り手として必要なのは、「これがあれば十分です」と言い切る覚悟です。
何が重要かを突き詰める作業は、機能追加よりはるかに難しいことでした。
取り組みの結果、10病院までは1人で耐えられそうな状況になりました。
何より大きかったのは、工数削減で価格訴求できるようになったことです。
病院担当者にかかる導入・運用時の負担も大幅に減らすことができたため、
これといった特徴のなかったシステムからの脱却につながりました。
4.顧客の意見に耳を傾ける
パッケージ化を推進する過程でシステムに対する理解と愛着を深めた私は、
せっかくなら自分で世に広めたいという気持ちで営業活動をはじめました。
しかし、医療業界も営業職も未経験だったため訪問先の確保に苦労します。
非効率と感じながらも無謀な電話営業や訪問活動などを続けていると、
ある病院の方から厚労省の公開データをまとめて欲しいと言われました。
始めは手作業で対応したのですが、依頼者にとても喜んでいただけたため、
コンセプトレベルの営業資料を作成し、小規模な市場調査を実施しました。
一連の流れで無料なら使いたいというニーズがあることを把握した私は、
「上昇病院.com」という無料の会員制WEBサイトを立ち上げます。
同サイトの会員数は、開設から1年で200名を突破しました。
これが営業先の確保に繋がり、システム導入数は10病院を超えました。
5.同業他社と良好な関係を築く
導入数が10病院を超えると、1人体制の限界がやってきました。
そこで社長と交渉した結果、2名の新人を採用してもらえました。
本当は経験者が欲しかったのですが、募集しても応募がなかったため、
未経験者を導入・保守サポート要員として育てることを決意しました。
導入数を増やしたいにも関わらず営業職を採用しなかったのは、
人件費を補えるようになるまでに相当の期間がかかるためです。
病院は意思決定に慎重なので、検討から導入までに1年以上かけます。
教育に1年かかると、売り上げが得られるようになるのは3年目です。
しかし、増加した人件費は売り上げで補う必要があります。
そこで、営業力の強化を目的に販売代理店の確保に取り組みました。
広義だと同業で、狭義だとシナジーのある企業を中心に打診した結果、
社内の営業社員を増員せずに、年間導入数を倍増させることができました。
6.システムを使いこなすのは難しい
導入数が増える過程で気になってきたのが契約満了に伴う解約です。
年間1~3件程度だったので売上への影響は大きくありませんでしたが、
導入先にそうした決断をさせてしまうことに精神的な辛さがありました。
解約を防ぐ目的で導入先と情報交換する機会を増やしてみると、
多くの病院担当者が本来業務の傍らで運用を担っていることを知りました。
専任だった私がシステムの全体像を理解できたのは入社2年後くらいです。
このとき、病院担当者に活用してもらう発想に無理があると感じました。
そこで考えたのは、システムから出力したCSVを貼り付けるだけで、
A4サイズのレポートが自動で生成されるExcelファイルの提供です。
誰でもできる操作で定例会議の報告資料を作れるようにしてみると、
定期的に使っていただけるようになり、年間解約数を0に抑えられました。
7.重要なのは分析ではなく改善すること
いま振り返ると、原価計算システムの担当者でありながら、
システムの活用よりもレポートの提供を重視する姿勢に変わったことが、
退職を決意するターニングポイントになったように思います。
システムは分析に役立ちますが、改善できるどうかはスキル次第です。
せっかくなら経営改善に役立つサービスを提供していきたいと考えたとき、
もっとシンプルに低価格で多くの病院に貢献する方法がある気がしました。
そこで、新たな環境に身を投じてスタートからやり直そうと決意しました。
2021年の7月末にメハーゲンを退職してからは、
新しい会社で、新しい事業を作るための取り組みをスタートしています。
詳細については、後日公開予定の入社エントリに書こうと思います。
長文になってしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。