自己紹介④紙からウェブへパラダイムシフト。副編集長時代【2016年~2021年】

新人時代を過ごした部署は、やっぱり愛があるものです。約10年在籍していた雑誌「マリソル」の対象年齢は40歳、「ノンノ」は20歳。ノンノが好きという気持ちには変わりがないし、焦ることもなく、むしろフレッシュな気分。通常の異動ととくに変わりない、という認識でした。
ところが、副編集長として最初の会議に出席した時のこと。会議で飛び交う用語がちっともわからない…のです!

異動先の読者像・専属モデル・広告など、媒体としての現状を「中の人」として把握し、進めていくことは通常業務。しかし、とにかく会議で交わされる、読者の世代にひもづいた言葉や人名の数々がわからない!「この流行語の意味は?」なんて記事も年末などによく見かけますが、その類を毎日シャワーのように浴びました。

そもそも、その大前提である生活習慣が、自分と若い世代はまったく違っていました。デジタルの進化を呼吸するように生活に取り入れていて、まず、そこから真似しないことには始まらない。

異動後の毎日といえば、会議中のわからない言葉はスマホで常にチェック、チェックしてもイメージがつかめない言葉は部下に質問、部下にスマホに入れてるアプリを教えてもらって、とりあえず総DL、などなどなど。

副編は組織を前に進める業務もありますが、クリエイティブの決定もかなり大事な業務。読者や現場編集者と同じものを見て、理解して、解像度を高くしておかないと、コンテンツの作成業務の一環として話にならないのです。
そうこうしているうちに私の脳内も生活習慣も、デジタルにパラダイムシフト。心優しく有能な若者に囲まれて、本当に環境に恵まれていました。

同時にこのとき、雑誌というメディアが直面している厳しい現実も目の当たりにしました。「ノンノ」と検索すると雑誌ではなくゲームのキャラクターが出てくる、知り合いのお嬢さんがアパレルに就職したが、ノンノを1回も読んだことがない…。
新しい人や世界との出会い、ときめきや温かさ、シスターフッドなど、自分が体感し享受してきた女性誌のカルチャーを、プリントだけではない形でも引き継いでいきたい。そう思い、「ノンノ」のウェブサイトをリニューアルを当時の編集長に提案しました。

2016年秋にサイトリニューアルの準備をスタートし、2017年3月にローンチ。今思い出すと、自分のデジタルの知識があまりにもない状態だったので、予算・施策はじめ全体をしっかり見渡す目もありませんでした。業務委託の方々、他部署(デジタル部署)の協力、知見のある編集部員などの素晴らしい仕事ぶりで、スタート後の数値も伸びてきました。ただ、このときはまだ、私はデジタルに関してお客さん気分だったのです。(本誌の副編業務ももちろん毎月ありました)

2019年に入り、当時、頼りにしていたディレクターの方の契約が終了になるタイミングで、はたと気がつきました。「代わりのディレクターを探さなければならないが、自分のウエブ関連の実務の解像度が低くて、仕事内容や対価の提示や交渉、ジャッジができない」「媒体というものがある限り、媒体側(つまり自分)がそれをできないと、人も集められないし、どんなに優秀な方がいても有意義に働けない」ということに。

雑誌媒体の施策において、スタッフがどんな仕事をするか、その対価はどれくらいか、ということについては知見があります。けれどもウエブサイトの運営となると、お客さん気分だったからふわっとしかわからない。現場ならふわっとでもよいですが、私は管理職です。すでにサイトは動いているので、止めるわけにはいきません。その後、社内の知り合いづてに素晴らしいディレクターの方に加わっていただけたのですが、ここで覚悟を決めました。

脳内だけでなく、仕事のスキルもパラダイムシフトをしなくてはならない。

2019年5月のゴールデンウィーク、当時小学4年生の息子を連れてセブ島へ行きました(息子は1週間、英語学校に通いました)。私はその1週間を中心に、前後約1か月でウエブの仕組みや歴史を1冊の本から学び、自分でウエブサイトも作ってみました。

ちなみに、この独学期間までの半年は、落合陽一さんのオンラインサロンに自腹で通っていました。
最初のディレクターのかたの契約期間が終了するということで切羽詰まっていて、どなたかスカウトできないか…と目論んでいたのです。が。前述のとおり自分には、スカウトするスキルがありませんでした。むしろ話を合わせられないくらいの低レベル状態。さらに集まっている方々の中で明らかに最年長で、気後れしまくりでした。

しかし、このオンラインサロンの中で、PHPのレクチャーを2時間500円で実施してくださった方がいらっしゃり(お若い方)、参加してみました。生まれてはじめて「コードを書く」という体験もしてみて、たった2時間でも大変有意義でした。それをきっかけに、主にTWでいろいろなテック系のかたをフォローし、知見に触れ、書籍に出会って、約1か月の独学(セブ島での集中勉強含む)につながりました。

私の仕事はコードを書くことではありませんが、コードを書いている方とつながって仕事をします。どんなことをやっているのか、最低限の知識はもっていないとコミュニケーションに支障が生じます。このときの独学は、頑張ってよかったと今でも思います。

その後2020年6月、バイラ(2周め)に異動。本誌とウエブを副編として1年担当しました。そして1年後の2021年6月、大規模な組織変更とともにバイラのウエブの編集長に就任。WEBとSNSだけでなく、「動画」と「漫画」への挑戦が始まったのです。


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