自己紹介⑤出版社デジタル媒体の編集長に就任して。【2021年~2023年】

2021年6月、「@BAILA」の編集長に就任しました。このタイミングで「マリソル」はECブランドになり、「セブンティーン」も本誌は季刊で出版しつつメインはデジタルに移行。
そのほかの雑誌もプリントとデジタル2名の編集長体制となり…と、入社して四半世紀を経た私にとっても、いまだかつてない大規模な組織改編でした。

就任した翌月に、デジタルの新体制の方針を発表。その中でも、デジタルにおける編集者の仕事を明文化しました。たとえば

▪️コンテンツを作るだけでなく、届けるまでデザイン・設計する

雑誌を毎月作る編集者は、「校了→印刷→リアル&ネット書店で販売される」という流れが当たり前の世界にいます。編集者が「紀伊国屋書店の店頭に雑誌をディスプレスする」ことまで行いません。
かたやデジタルでは、編集者自身があらゆるところにポップアップストアをオープンするイメージ。

外部配信やSNSプラットフォームのどこに、いつ、どんな形で記事を配信するかまでイメージし、仕事の一環として動かせなくては、星の数ほどある記事の中で、まず記事の存在自体にすら気づいてもらえません。まずは、関わるスタッフにこれを共有しました。(ちなみに、届けるまでデザイン・設計することは、「記事の最初から最後まですべてを見る」編集者の、新たな醍醐味でもあると私は思っています)

▪️コンテンツ力×SEO対策力×SNS拡散力に強くなる

雑誌の場合、「巻頭のファッション特集が気になるから買った。ついでに読み物やコラムも楽しく読んだ」ということも多いと思いますが、デジタルの場合はすべて1記事のスタートラインは同じ。「ついで」はありません。
華やかなモデルが出ている記事であろうと、落ち着いた書籍レビューであろうと、基本的なデジタルの知見、記事の面白さ、そして拡散するノウハウがないと成立しません。
このあたりを自分のものにするためには施策にある程度の期間かかわったり、レクチャーを受けるなど、経験と学びが必要だと思います。
また、いろいろテクニックをつくしても、結局「コンテンツ力」がないと頭打ち。コンテンツのおもしろさこそが大動脈、ということは永遠です。

▪️記事のクオリティ×アサイン力×スター発見育成力     

こちらはメディアならではの特性です。プリントで期待される部分は、デジタルでも同じ。クオリティの高い写真や文章、最旬の人物をアサインするグリップ力や信頼関係、そしてまだ見ぬスターを見極め、育てる力は、メディア特性として守らなければいけない部分です。
デジタル世界には、メディアよりも影響力をもっている個人のかたもいらっしゃいますから、メディアとしての存在価値をクリアにしておかないとなりません。ここはまさに現在進行形。

▪️作り手の顔の顔が見える記事づくりをする

編集者は裏方。そう思って仕事していたし、今もそのような意識の編集者の方々もいらっしゃるかもしれません。しかし、ずいぶんと前から、ファッションなどジャンルに限らず「誰が書いているのか」「誰がおすすめしているのか」ということがとても大事な要素になってきています。
雑誌メディアの特性には信頼性、専門性、権威性がありますが、SNSの発達により、それすらもかすんできている時代。顔出しで記事を書くことはリスクもあると思っていましたが、その媒体がどんな人によってつくられているのかを明らかにすることは当たり前のことになっている、と、認識を変える必要がありました。

以上すべては、それぞれの媒体特性とのかけあわせで唯一無二の価値を発揮できるものです。
プリント生まれ、プリント育ちの国がデジタルシフトするには、上記以外にも膨大な仕事を定義しなおして、共有し、前に進める必要がありました。

編集長としての仕事はまだまだあります。半期ごとに予算を施策をたてて損益決算書の管理をすること、タイアップ施策、宣伝施策・・・などなどなど、お金の管理も膨大。
@BAILAには心優しくかつ敏腕なプロデューサーさんがいてくださり、予算のたてかたや損益決算書のまとめかたなど、何度も何度も教えていただきました。それでも、一人ではとてもできない…。お互いに報連相しながら、二人三脚で前に進んでいました。

そして、コンテンツ作成、運用、予算などなど、媒体にかかわることはすべて、周囲の優秀なみなさんが実力を発揮してくださったから実現できたことばかり。大変だったけど、「@BAILA」では本当~に人に恵まれていたと思います。コアメンバーの方にも、フリーのかたにも、外部制作会社のかたにも、感謝してもしても、しきれない。

さて、@BAILAではYoutubeの立ち上げと漫画の制作もスタートしたのですが、さすがに自己紹介も5回目ということで、我ながら長すぎました…。

次回からは時系列ではなく、テーマ切りで編集者としての仕事軸やエピソードを綴ってまいります。その中で、動画や漫画へのチャレンジもトピックに。

異動先の「yoi」については新体制を整えており、もう少し先でご紹介させてください。
「yoi」はいい意味でカウンターカルチャー的な要素もあり、次の10年を創る媒体に育てたいと思っています。

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