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相手の先を読む

ビジネスは組織で行う以上、様々な、複層的構造があります。
「相手の動きが自分の意図と違うな」と感じるとき、相手に働きかけるだけでなく、相手がその先に、誰とどんなコミュニケーションをしているのか。その先に思いを馳せて先回りをすることが仕事をスムーズに運ぶコツだったりします。正攻法に比べると、ちょっと「ブラックな」ノウハウだったりもするのですが、私の経験上の「あるある」ケースを幾つか紹介します。
 

動きが悪い営業には肩代わりをする
 
取引先に要領を得ない営業がいたりします。こちらの要望していることが、伝わらない。改善を依頼しても、進んでいない。営業は社内リソースと顧客とをつなぐ橋渡しなわけですが、取引先社内でのコミュニケーションが出来ていないことが疑われます。
 
設備メーカーの営業であれば、「こんな不具合がある」という投げかけに対して、実際に設備に反映させる技術部門、設計部門に情報を咀嚼して伝える、ということが出来ていない。「愛嬌と体力だけで営業の世界を生き抜いてきました」というタイプにこういう人が見られます。
 
こういう時は、良くまとまった技術資料をこちらで準備してお渡しする、ということで急に仕事が進んだりします。「あなたは何も加工しなくていい。この資料を技術責任者に渡せば、それでいいんだよ。」いわば、担当の営業が本来やるべき仕事の肩代わりです。
 

人事情報を漏らす人は逆に活用する
 
もうちょっとブラックなテクニックの紹介ですが。
 
サラリーマン組織の中に「人事情報を吹聴する」タイプの人がたまにいます。
 
「うーん、私の知っている情報だと彼は今度××部署へ異動になるからねえ・・・」
ドヤ顔で人事情報をコソコソ風に漏らし、さも「上層部の決定に食い込んでいる私」アピール感を出してきます。
 
人事情報をある期間まで内密にするのは理由あってのことで、早すぎる情報漏洩によって無用な迷惑を掛けることが無いようにとの、組織配慮であるわけです。いわば、チームに無用な心配を与えないよう配慮した、思いやりです。
 
このことを守れないタイプの人とビジネスパートナーとして腹を割った関係を築くのは無理と考え、私は距離を置くようにしています。なぜなら人やチームに対する配慮や優しさが欠けているからです。
 
ただ、このタイプの人に「上から可愛がられ体質」の人がいる傾向があるので、こういう人を特定の目的のために利用することもひとつの手です。
 
私がたまに使う手として、このタイプの人にわざと情報をリークします。
 
ある程度組織の責任を持つ立場になれば、ビジネスは綺麗事で済みません。あらゆる「奸計」を仕掛けてくる相手がいるし、社内に「政敵」が存在したりします。上にはいい顔を見せておきながら、プロジェクトの実行レベルでは足を引っ張ってくる。
 
そういうときに、私は「人事情報を漏らす人」にメールを転送したりします。「プロジェクトの実行レベルではこんな矛盾したことを言い出してチームを乱す、困った人なんですよねえ。」グチの体で。
 
「人事情報を漏らす人」は、結構な確率で、こういうメールをとんでもないトップレベルの上役に転送したりします。「私のインテリジェンスでは、実際にプロジェクトの現場で起きているのはこんなことらしいですよ。」
 
そして上役といわれる人々の特徴なのですが、「正式な報告」よりもそれ以上に、「漏れ伝わるタレコミ」のような情報を信じる傾向があるのです。
 
私としては、政敵を無力化することが出来ます。さらに、「私は別に上役に『直訴』をしたわけでもない」というテイがあるので、発言責任も説明責任もありません。どっちに転んでも美味しい状況です。
 

客ではなく上司を見ているタイプには強制力を効かせる
 
さて、「動きが悪い営業」の話に戻ります。強くお願いしてものらりくらりで、コトが進みません。
それはなぜなら、この営業が恐れ、顔色を窺っているのは「上司」であり、「客」ではないからです。客が不満足状態に置かれていることは、まず上司には伝わっていません。
 
まずは「不満が漏れ伝わる」ことを試みます。同じ会社の、他製品担当の営業に「グチのテイ」で埒が明かないことをインプットします。他の担当は多くの場合、共通の上司にこのことを報告するからです。
 
そしてそれでも進展が無い、というときは、最終手段です。取引先に訪問し、「担当を変えて頂けませんか。ビジネスが進みません。」と直接お伝えします。ちょっと過激で、頻繁にやりたくはないですが過去に何回かはやったことがあります。こちらとしては業務を進めなければいけないので、キレイな解決策だけでは突破できないこともあるからです。


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