ファッション

寒い。今年もやっと冬が来た。部屋でじっとしていると体の芯から冷えている。部屋用の長ズボンが欲しい。足が冷えてかなわない。シャツは長袖を着ている。カート・コバーン風味の古着のネルシャツを着ているが、それでも寒い。すっかり存在を忘れているトレーナーやらパーカーの出番が今年もやってきた。

服はたくさん持っているほうだと思うが、ここ数年新しく買うことはめったになくなった。前よりも欲しい服が見当たらない。なぜだろう、センスが鈍くなったのかもしれない。心惹かれる服が見つからない。グッチの頭おかし目なデザインはいいなと思ったけど、値段がゼロひとつかふたつ多くて手が出ないし、着こなす自信もない。猫に小判、豚に真珠、私にグッチ。

西武新宿駅近くにあった、行きつけのセレクトショップがなくなってから、服を買う機会は年々少なくなった。その店は今でもウェブショップはあるのだけど、以前とバイヤーが変わったのか、時代が変わったのか、私が退化したのか、欲しい服が見つからなくなった。

着たい服はその時夢中になっていたアーティストや映画に左右される。大きく左右される。デヴィッド・ボウイみたいになりたくて色使いもシルエットもおかしなジャケットを着たり、ニール・ヤングのようなぼろぼろのデニムにチェックのシャツ、カート・コバーンのニット、トレインスポッティングの時のユアン・マクレガーみたいなジャージと薄いグレーのジーンズにスニーカーそして坊主頭!

どの格好も誰一人として私が目指しているものに気が付かなかったことは失敗であり、それなりに自己満足かつ評判が悪いわけではなかったことは成功だった。oasisみたいな恰好をしなかったのがポイントだったね。

九十年代を全体的に愛してはいるけど、ファッションだけはそのままの姿を愛することはできなさそうだ。

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