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アラフィフで学ぶ人生色々(17) 回復の過程

心が緩むと急に襲い掛かる心の闇。
仕事モードの時は良いけれど、スイッチが切れてこれに落ちると涙が出てしまうので、この半年友人と出かけられなかった。

でも半年ぶりに親友を含めた親しい仲間と集まる事になり、敢えて私から彼と一番思い出の深い店を提案した。
この半年、見るのも前を通ることすらも怖くてできなかったお店。
回復しつつある自分は、あの店に行って彼がいない現実に耐えられるかを試したかった、私はまた笑えるのかを知りたくなった。

このやや気違いじみたテスト。
結果は、笑って友人と店を出ることが出来た。食事も ”美味しい”と感じられた。彼を思って涙が出ることもなかった。不思議なぐらい、私はこんなにももうすっかり回復しているんだな、そう思って家路についた。

とは言えひどく疲れて、帰宅と共にベッドに倒れ込みそのまま寝てしまっていた。朝5時、何故か寝巻にだけは着替えて、でもメイクを落としていない私が目を覚ました。とにかくのどが渇いて水を飲み、今度は電気を消してまた寝た。

9時過ぎ、ようやく目を覚ました私の感覚はとても不思議なものだった。
昨日の楽しさが体に残っているだけでなく、何より身体から”つきもの”が取れたような軽さがあった。
解き放たれたような、身軽になった感覚。この半年間にはなかった、何かを抜け出したかもしれないという感覚。

彼らとした話題は殆ど覚えてないぐらい、仕事の話と日々の出来事、共通の友人のその後について、、のようなよくある話を面白おかしく。
ただ、なんだかんだ言いながらも、彼らは目の前にあるそれぞれの生活に真正面から向き合い、怒って笑って努力している。
だから私は彼らが好き。
いつも会う度に、私はまだまだ頑張れるなと思わせれてくれる人達。
そんな彼らの真っ当さが、今の私を取り巻く不幸なつきものを落としてくれたような、そんな感じがした。

なのに今日の午後、普段は使わない一番奥の会議室で会議があり、終わって一段落まとめ作業をしていたら、彼の働いていたオフィスタワーが見えた。
その瞬間、またあの鬱々とした気持ちが一瞬首をもたげてしまった。
逃げるように立ち上がって席に戻る。
濃いコーヒーを買って飲む。悲しい気持ちは少しだけ楽になった。
でも、帰り道にまたふと涙がこぼれた。

人はこんな風にステップを踏んで、ゆっくり回復するのだなと感じた。
行ったり来たり。
今はまだ癒しの時、回復の途中。
だからと自分を責めることなく、自分を抱きしめてあげたい。

大丈夫。自分らしく誠実でさえいれば。
私を私が守ってあげる。
私は今、人生で一番、自分を強く抱きしめてあげたい。

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