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【本棚が見る私の世界】#1 思い出の本棚

本は、私にとって忠実な友人であり、新しい世界へ導いてくれる案内人です。いつでも私を受け入れ、励まし、時には共感してくれます。

小学生の頃、私は自宅にいるほとんどの時間を本棚の前で過ごしました。小学2年生の秋、住んでいた場所から車で15分ほどの場所に引っ越しました。家族5人で暮らしていた団地が窮屈に感じられたからだと思います。

私にも初めての”私の部屋”ができました。しかし、その部屋は実際には2つ下の妹の部屋と繋がっており、完全なひとり部屋の姉をうらやましく思っていました。”私たちの部屋”は約14畳の広さがあり、将来的に仕切ることができるように中央には2つのドアがありました。さらに、入口とは反対側にもう1つドアがついており、秘密の部屋に行けるようになっていました。当時、ふたり部屋に不満はありましたが、その変わった構造を教えられた時、胸が高鳴ったのを覚えています。

その部屋の丁度真ん中あたりに、幅が2mほどもある本棚が置かれていました。ウォールナットの木材でできており、存在感のある風合いが部屋に豊かな雰囲気をもたらしていました。高さはあまりなかったと記憶しています。本棚の前にはシンプルなカーペットが敷かれてからは、そこが私の定位置になりました。

本棚には家族全員の本が収納されていましたが、そのほとんどが少年漫画でした。女ばかりの家庭でしたが、父の影響で私たちはその種の本を好んで読んでいました。紙のページをめくることへの習慣化は、きっとそれが原点なのだと思います。

人見知りしない性格や流行りの漫画を把握していたことで、転校してすぐに男友達がたくさんできました。私は人と過ごすのが好きでとても明るい子供でした。今思えば、恵まれた環境だったのだと思います。

外で遊ぶこともありましたが、自宅本棚の前で過ごすことがほとんどでした。あの本棚は、本や漫画を読んだり、レゴやゲームで遊んだり、笑ったり泣いたりしているいろんな私を見ていたことでしょう。

これから本棚の前での幼い私を振り返りながら、文章を綴っていきたいと思います。


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