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妖怪きなこ爺
2020年7月16日 04:53
理由はひとつもなかった。ただ何となく、本当に何となく僕は病院に寄ったのだった。お決まりの朝寝坊をかましてしまい、今からだと予備校の一限には間に合わない。別に誰に咎められるわけでもないのだが、僕はいつもの気まぐれで一限をさぼり、祖父の「ジジ」が入院している病院に寄ることにした。ジジは末期の喉頭癌だ。どうやらもう長くはないらしい。ちょうど1週間ほど前に危篤状態になり、家族総出で病院に向かったの