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筋トレやストレッチだけでは動きは変わらない

動きのエラーの原因

私たち理学療法士はクライアントの問題点を把握するため、トップダウンやボトムアップと言われる方法で、何かしらの評価をして問題点を把握していきます。

しかし、私たちが必死で臨床実習などで、クライアントから評価をさせていただく、関節可動域(ROM)や徒手筋力検査(MMT)や整形テストなどでは把握できない問題があります。

歩行などの動作に何かしらの問題がある場合に、筋力低下や可動域制限があり、それらが解決したとしても動作が改善するわけではなかったりするのです。

私が考える動きのエラーの原因は大きく分けて3つあります。

①筋力が足りていない
②関節可動域が足りていない
③その運動パターンがない

なかには①と②の問題に対してだけアプローチして解決することもありますが、ほとんどの場合はそうではなく③に対してのアプローチが重要になってきます。

それなのに、リハビリ現場ではストレッチや筋トレをして終わりという方が多いのも事実です。

これでは良くなる問題も、なかなか解決できません。


例:歩行あるある

例えば、歩行時に膝の外側が痛いという方がいたとします。

歩行時の特徴として立脚期に股関節の伸展+外旋が起こっている。
本来であれば、「内旋」です。

内旋が起こらないことによって、立脚終期で小趾側から母趾側への支持点の移動ができないので外側荷重になります。

そうすると歩行の立脚期に膝の外側には伸張ストレスが加わるようになるパターンは結構あります。
(細かく言えばこれにもいくつかのパターンがありますが、今回はわかりやすく大枠で表現しています。)

この問題に対して、評価を行うと、

・股関節の内旋可動域制限
・大腿筋膜張筋、腸脛靭帯の短縮(over test 陽性)
・内側広筋の萎縮

など確認できたとします。

これに対して、リハビリで股関節の内旋制限が解決、内側広筋の筋トレをしたら、歩行時に股関節伸展+内旋の現象が起こると思いますか?

この時に重要なのは、股関節内旋が起こることによって、同側の寛骨の前傾、そして脊柱の対側への回旋の動きが運動連鎖的に起こる運動パターンです。

この運動パターンがあれば、可動域や筋力にアプローチするだけでも解決する可能性はあります。
しかし、この運動パターンがなければ、新たに運動パターンを獲得するように取り組まなければいけません。

ストレッチや筋トレだけでは解決できないのはこのためです。



運動パターンを獲得するために

私たちの身体は非常に精巧にできています。

関節の適合性が高まり、運動連鎖が起こることによって、効率的で滑らかな動きや力の伝達が可能になります。

どこか痛めてしまったり、パフォーマンスが上がらない時というのは必ずと言っていいほど、この運動パターンに問題があります。

歩行など、その動作に必要な運動パターンがあり、理想的な動きの運動構造があります。

どのような動きが一番力の伝達などエネルギー効率が良いのかを理解し、それを引き出すためのトレーニングが「身体操作トレーニング」です。

先程の例で言えば、股関節内旋ー骨盤ー脊柱の動きが連動するように身体を操作してトレーニングしていきます。

これをどのような姿勢(立位、座位、臥位など)やどのような速さで動かすかなどで難易度は変えられます。

基本的に支持基底面や速さ、関与する関節が増えるほどコントロールが難しくなり、力んでしまいます。
この力みが生じると運動パターンが乱れたりします。

難易度の設定を変えているだけで、年配の方からアスリートまで根本的には問題の解決の仕方は同じです。

大事なのはその運動構造を理解し、必要な運動パターンを学習していくことです。
学習していくためには、反復すること、継続することが重要です。


ただストレッチや筋トレをするのではなく、運動パターンの獲得にもアプローチしていけるセラピストになりましょう。

お読みいただきありがとうございました。

謙虚・感謝・敬意
知行合一・凡事徹底
岩瀬 勝覚


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