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【はじめてのIT勉強会】 仙台(地方)で「フリーランスのITエンジニアになることを考えているんですけれど」と言われたら

この記事は【はじめてのIT勉強会 Advent Calendar 2021】の5日目の記事です。

TL;DR

・フリーランスも向き不向きがあるよ
・フリーランスだからといって超絶技巧が必要なわけではないよ
・けどやっぱりフリーランスとしての一定以上の技術力は必要だよ
・1つの技術分野だけではなく、複数の技術分野で仕事できたほうがいいよ
・お仕事を得る方法はよく考えた方がいいよ
・なんだかんだでコミュニケーションは大事だよ
・お金の面でウハウハ🤑!とかそんなことないよ(個人の感想です)
・単価相場はあってないようなものだと思う
・たぶん副業から始めるのがいいよ

筆者について

社会人になって以来ソフトウェアエンジニアをずっとやってきました。退職に伴いフリーランスになったこともあって東京にいる必要があまりなくなったので、2019年8月に東京から仙台に移住しました。
半ば勢いだけで東京を出ることを決めただけの1人の身軽な引っ越しです。

私にとって仙台に特に思い入れはなく、いくつかあった引っ越し先候補の中から「東京にアクセスしやすい」「引っ越し先候補の中では生活が楽そう」という理由で仙台を選んでいます。

はじめてのIT勉強会 in 仙台について

はじめてのIT勉強会 in 仙台は、仙台で毎月第4水曜日に定期開催している勉強会です。
この勉強会は『いろいろな不安があって勉強会への参加を躊躇っている方が気軽に参加し、「一歩目」を体験しつつ、明日から役立つ知見を獲得するための勉強会です。』という主旨になっており、間口の広い勉強会です。

仙台で定期開催していることもあって、私も時間に空きがあればちょくちょく参加させてもらっています。

仙台でフリーランスのITエンジニアは珍しい?

仙台でフリーランスのITエンジニアは珍しいのか、「フリーランスのITエンジニアってどうなんですか?」みたいなことや「フリーランスのITエンジニアになることも考えているんですけれど」みたいなことを聞かれることが一時期よくありました。
東北人は奥ゆかしいので直接的には聞いてこないものの「ITのフリーランスってどんなんだろう…?」みたいなことに興味あるんだろうなというのは話をしていて感じることもあります。

仙台でフリーランスのITエンジニアをしている人ってほとんどいないような気がするので(私の知り合いにはほとんどいない)、フリーランスのITエンジニアのロールモデルが身の回りにあんまりいないということもあるのでしょう。

「フリーランスのITエンジニアってどうなんですか?」と聞かれたら

「フリーランスのITエンジニアってどうなんですか?」や「フリーランスのITエンジニアになることも考えているんですけれど」を聞かれたら、会社や組織に属することのメリットとデメリットとフリーランスのメリットとデメリットを両方を経験した私の視点からなるたけ公平に挙げるようにしています。

仙台(または地方)でフリーランスのITエンジニアをするなら、どこからどう仕事を取ってくるのかは特にあらかじめ意識しておく必要があるかと思います。
仙台では(そしておそらく東京以外の地域でも)、地場にある案件は量も必要とされる技術の内容も限られています。

学生に「起業と就職のどっちがいいでしょうか?」と聞かれたら

相手が学生の場合「起業と就職のどっちがいいでしょうか?」の二択であったりすることもあるので、なるたけ「組織に属することで覚えられる社会のルール」みたいなものはあまり強調されないけど重要であることは伝えるようにしています。

これについては下記の高須さんの記事がとてもおすすめです。

同時に「私は起業したことないので起業については分からないけれど、起業について考えているなら起業した人たちに聞いた方がいいよ」ともいうようにしています。
仙台ならフリーランスITエンジニアよりはIT関係で起業している人の方が多いので(多分)、仙台でフリーランスのITエンジニアよりは話を聞きやすいと思います。
起業に興味あるなら仙台のコワーキングスペースenspaceで起業した人によるイベントが開催されることがあるので、そちらを訪れてみるのがよいでしょう。

実際のところフリーランスのITエンジニアどうなの?

実際のところフリーランスのITエンジニアってどうなのかについては、私感ですが述べておきたいと思います。
生々しい話はしないつもりですが、読んだ方の指針にはなるくらいの内容にはなっているかとは思います。

実際のところ:向き不向き

まず何よりも向き不向きがあります。例えば「組織に属するのに向く人」「フリーランスに向く人」「起業に向く人」なんかがいます。
個人的にはこの向き不向きがフリーランスのITエンジニアを続けられるかどうかの小さくない部分を占めていると感じています。
そして、フリーランスになってみたけど自分には会社員の方が向いているなと自覚しているっぽい人や、会社員に戻っていく人がそれなりにいるみたいであること、労働者の大半は組織に属していることから、おそらく現状では「組織に属するのに向く人」が一番多いのかなという印象が個人的にはあります。

じゃあ「どういう人がフリーランスに向いているのか」ですが、これはちょっとよく分からないというのが私の実感です。
会社員にもいろんな人がいるように、フリーランスにもいろんな人がいます。私は起業した人とはあまり関わりはないのですが、同じように起業家にもいろんな人がいるのだと思います。
なのでどれに向いているかは、実際になってみないと分からないのだと思います。

私個人としては自分が会社員に向いていると思ったことはないですが、だからといってフリーランスに向いていると思ったこともないです。
会社員とフリーランスのどっちが向いているかといわれると若干フリーランスかもなあというくらいです。
少なくともフリーランスになってみて、フリーランスであることが苦ではない自覚はあります。その時点でフリーランスに向いているのかもしれませんが。

気をつけて欲しいのは、会社員をしていて「会社員に向いていない」という自覚があっても、それがフリーランスや起業といったほかのことに向いているとは限らないことです。
「俺は会社員が向かないからフリーランスになる!」みたいに安易に考えるのは危ないように思います。

実際の所:技術力の話

フリーランスのエンジニアは超絶技巧を持っていると思っている人もいるかもしれませんが、実際はそうでもないです。
私も超絶技巧は持っていませんし、他の人の数十倍の速さでソースコードが書けるわけでもありません。
それこそ私より優秀な会社員エンジニアはいくらでもいます。

なら技術力が必要ないのかというと、フリーランスとして独立してやっていく以上は一定以上の技量は求められます。
生業とする分野で「時間さえあれば他から支援なしで独力でやれるな」くらいの力量は最低限必要なのかなと思います。
例えばRailsでのWebアプリ開発を生業にするなら、Railsを使って商業レベルのWebアプリの設計・開発・メンテナンスが自分1人できるくらいの能力はせめて必要でしょう。

実際に活躍しているフリーランスの方を見ていると、会社員だったとしてもチームなり組織内で「この人に任せておけば安心だ」とまわりから一目置かれる感じの人が多いです。
そういう人は実際にフリーランスになる前の会社員だった頃からまわりから一目置かれていたのだと思います。

実際の所:複数の技術分野ができるのが望ましい

フリーランのITエンジニアとしては、業務に耐えられるレベルの技術分野が複数あることが望ましいでしょう。

私を例に出すと、Androidアプリ開発がメインですがFlutterでのクロスプラットフォームでのスマホアプリ開発もやります。
そしてこの半年でReact Nativeでのスマホアプリ開発にもある程度対応できるようになりました。
iOSアプリは最近はお仕事としてはコード書いていないのでメイン担当としてやるのは厳しいですが、コードレビューや既存コードの不具合対応、ビルド環境のメンテ作業なんかはやっています。
Railsで仕事していたこともあります。RailsやRubyは私にはあまり向かないなと思ったこともあって「Railsやれます」とはまわりにはいっていませんが、不具合の原因がクライアント側でなさそうな場合にRailsで実装されたコードを読んだり不具合箇所の指摘をすることはあります。
そして私は組み込み出身ということもあり、C言語やC++言語での開発もある程度できます。実際にお仕事でそれらを私が書くケースはあまりないですが、Web系だとC言語できる人がチームにいないことも多いので私がそこのお手伝いしたこともありました。

1つの分野だけでやる道もありますが、その場合は超絶技巧ともいえるレベルの技術力が求められたりします。
個人的には1つの技術分野に特化するよりも、複数の技術分野をそれなりのレベルでやれる方が楽なくらいだと思います。

実際の所:どうやってお仕事をゲットするか

前職のつながり

フリーランスがどうやってお仕事を得るかについてですが、私の場合は前職や前々職のつながりがほとんどです。
前の職場から直接お仕事を頂くこともありますが、当時の同僚や上司なりが独立や転職などをしていて、そこからお仕事を頂くケースが多いです。
一緒に働いていたことがあればお互いに技術力や人柄・スタンスなんかも知っており、もとより信頼関係があるのでお互い安心ですしやりやすいです。
そういう意味では「独立したときに今の職場から仕事をもらえるレベルに達しているか」は独立するひとつの目安になるかと思います。(実際には組織側の規約や都合により退職者にすぐに仕事を出せない場合も多いです。)

勉強会やイベント

勉強会やイベントとかに顔を出しているとそのつながりでお仕事を頂くケースもあります。
しかし仕事が欲しいから勉強会に顔を出すみたいな下心が大きいと、まわりから見ていると結構分かるので敬遠されることも少なくないです。

仙台の場合は勉強会よりも飲み会の方がまだフリーランスとして地場の仕事を探しやすい気がします(個人の感想です)。
だからといって仕事を探すために飲みに行くのをオススメはしませんが。

エージェント経由

エージェントを使うのもひとつの方法です。
お仕事をいただけるようなつながりがない場合にはエージェントを使うのも有効だと思います。

とはいえエージェントに登録しているエンジニアも玉石混交のようです。
ゆえにエージェント経由でジョインした場合には現場から信頼を得るのに時間が必要だという印象があります。
あらかじめのお互いの期待値のすりあわせもしにくいですし、現場に入ったあたりだと自分が現場のカルチャーにフィットしているかも分からないですし、現場に入った当初は結構いろいろ手探りしています。

また、エージェント経由だと発注元からみると単価が高くなるので、そこに対する気遣いみたいなのもなくはないです。

何かあった場合には間にエージェントが入っているので安心という側面はあるのかもしれませんが、私自身はエージェントにお世話になるほどの何かがあったことはありません。
なので、間にエージェントが入っていることのメリットはよく分かっていません。

実際の所:コミュニケーション、現場へのジョインの仕方

コミュニケーションの仕方や、現場へのジョインの仕方についてはフリーランスになってからは以前よりも気を遣うようになりました。

組織に属していると現場が変わっても大元のカルチャーがそこまで変わらないケースも少なくないですし、新しい現場でも同期や以前一緒に仕事した同僚がいたりするので新しい現場でも入っていきやすいです。

一方でフリーランスだといろんな組織とお付き合いがあるので、新しい現場に入って行くのは転職と同じくらいの気遣いが必要かなと感じています。
たとえばSlackひとつみても、返信はスレッドにぶら下げるのかそうでないのか、メンションは気軽にしていいのかどうなのか(チームの規約でメンションの仕方が決まっていたりするケースもある)、メンションに"@tanaka さん"のように敬称をつける文化なのかそうなのか、「マ😱ジ😱で😱す😱か😱」みたいな表現と絵文字が許容されるかどうかなどなどいろいろ違いますし、そういう現場のカルチャーにフィットしていく必要があります。

フリーランスは外から来た人間ということもあって組織の力学に引っ張られにくいのでコミュニケーションや仕事がやりやすい側面はありますが、組織の力学によって自分のお仕事そのものがあっさりなくなるということもあります(組織から開発コストを抑えるといった判断がなされた場合など)。
同様に人間関係もやりやすい側面もありますが、組織内なら「人間関係があまりよくない」ぐらいですむケースも(これはこれで大変なのですが…)、フリーランスならお仕事そのものがなくなることもありうります。
人間関係がお仕事や売り上げに直結するという意味では、会社員よりもシビアな側面はあるかもしれません。

そしてフリーランスに限らずですが、社会人として報連相ができ、相手をリスペクトするといった当たり前のことも必要です。

実際の所:お金の話

フリーランスとして会社員よりもリスクを自分で背負っている部分もあるので単価では会社員の頃よりも高いです。
しかし、税金や年金・社会保険の支払いや、何かあったときのために保険を手厚くするといった支出、帳簿付けや請求書の発行・確定申告といった事務作業の労力、法律調査や対応にかかる労力(最近だと「適格請求書発行事業者の登録申請」の調査や手続きに時間を取られています)、パソコンといった仕事道具やコワーキングスペースといった仕事場所を自分で用意する手間や費用といったことなどの諸々があり、お金の面で会社員だった頃よりもウハウハ🤑かといわれると「全然そんなことないな…」というのが正直なところです(個人の感想です)。

その会社員の頃に比べて高い単価も、それを得られるかどうかは自分の腕次第というところもありプレッシャーもないわけではないです。
その上で世間の景気や技術動向といった自分ではなかなかどうしようもない部分で売り上げが左右されるところもあります。

また、健康状態も売り上げにダイレクトに影響します。
体調を崩すなどで仕事を休んだら休んだ分だけ売り上げが減ります。
私もフリーランスになったことが直接の原因ではないものの、以前よりもはるかに健康と体重に気を遣うようになりました。

ちょっと厳しめのことばかりが書いてきましたが、フリーランスのITエンジニアの良さとしては、お金と仕事の内容や量、一緒に働く仲間をある程度自分で決められるのが挙げられると思います。
2倍働けば2倍の売り上げするということも可能ですし、頑張りが目に見える形で反映されるのはやりがいにつながります。
「ちょっと仕事の量ががしんどいな…」というときも「この売り上げで今度買うMacbook ProをCPUをM1 ProからM1 Maxにするんだ…」とか思いながら仕事をすればちょっと頑張れます。
逆に売り上げを犠牲にして「1週間ほど休んでちょっとインドにカレー食べに行ってくる」みたいなことも都合さえつけば可能かと思います。

実際の所:単価はどうしたら?

ほかのフリーランスのITエンジニアがどれくらいの単価でやっているかは私は知らないので単価の相場がどれくらいなのかはよく分かっていません。

ただ「フリーランス エンジニア 単価」でググった結果をそのまま鵜呑みにすることができないのは事実です。
その単価を優に超える人もいるでしょうし、全く手が届かない人もいるでしょう。
働いている地域によっても単価感はだいぶ違いますし、需要の状況や個人の持っている能力や経歴によっても差が出るようです。

実際の所:フリーランスのITエンジニアのなりかた

フリーランスのITエンジニアになるには副業として始めるのがよいと思います。
副業なら副業側の仕事がなくなっても生活はできますし、何より小さく始めることができます。組織に属していることのありがたみも実感できると思います。
様子見で小さく始めてみて、向いているかどうかなんかを見極めた上で、どこかのタイミングで専業のフリーランスITエンジニアになるというのが1つの理想でしょう。
フリーランスになるときに今まで副業としていたお仕事をそのまま引き継げる可能性が高いのも魅力です。

ちなみに私の場合は、副業が忙しくなって「会社員と副業のどっちを取るか」の選択する状況になったときに、副業の方を取った上で専業のフリーランスになったという経緯があります。
フリーランスになりたくてなったというよりも、フリーランスになってしまったという感じです。
フリーランスになることを決める前は、自分がフリーランスになるなんて思ってもいませんでした。

まとめ

・フリーランスも向き不向きがあるよ
・フリーランスだからといって超絶技巧が必要なわけではないよ
・けどやっぱりフリーランスとしての一定以上の技術力は必要だよ
・1つの技術分野だけではなく、複数の技術分野で仕事できたほうがいいよ
・お仕事を得る方法はよく考えた方がいいよ
・なんだかんだでコミュニケーションは大事だよ
・お金の面でウハウハ🤑!とかそんなことないよ(個人の感想です)
・単価相場はあってないようなものだと思う
・たぶん副業から始めるのがいいよ