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書評『自分とか、ないから。』東洋哲学が教える自己の本質と心の平穏

はじめに

現代社会では「自分」という概念が重要視され、自己実現や個性の発揮が強調されています。しかし、東洋哲学の視点から見ると、「自分」そのものに疑問を投げかける概念があります。『自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学』は、この疑問に向き合い、東洋哲学の教えを通じて、私たちが日常生活で抱える問題に新たな視点を提供する一冊です。

本書は、私たちが慣れ親しんできた「自分」というものの存在を一度脇に置き、より広い視野で物事を捉える力を養うための道しるべとなります。特に現代の自己中心的な考え方に対するアンチテーゼとして、東洋哲学の深遠な教えが紹介されています。

東洋哲学の核心とは?

本書で紹介されている東洋哲学の根幹には、自己の存在を超えたものの見方が存在します。例えば、仏教や道教、儒教の教えは「自我」というものが絶対的なものではないと説きます。仏教では「無我」という概念があり、私たちが普段「自分」だと思っているものは実際には一時的な集合体に過ぎないとされています。

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