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葉月 陽
2021年4月1日 00:08
「なぁ……」「ん?」「俺さ、思い出したんだよ」 沙織の葬式の帰り道、それまで黙っていた亮がやっと口を開いた。「何をだよ?」「昔のこと」「だから何をだよ?」「うん……」 やっと口にした物の、まだどこか躊躇っているように亮は言いよどむ。 頭をかきむしり、懐から取り出した煙草に火をつける。そしてまた黙り込んでしまった。僕にはそれを見守るしかなかった。 ときおり僕の方に目を向けるが、ば
2021年3月11日 17:14
幽霊が夜に出るものなんて、誰が決めたんだ? 奴らは時間も場所も関係ない。夜に目撃談が多いのは、人間の暗くて視覚が発揮できないからそれ以外の感覚……つまり霊感が鋭くなっているからというだけだ。 通勤電車の朝の混雑時なのに、不思議に席が空いてるのを見たことがあるだろ?でも、誰も座らない。理由は見えてないだけで、ヤツが座っているからだ。見えなくても、本能的にいるのがわかってるんだ。だから、誰もそ