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子どものネット・ゲーム依存症~新たな困難

子どもがネット・ゲーム依存症治療中だという親の話を、ここ1か月ほどの間に異なる地域で数件聞いた。
治療拠点が増えていることを実感するとともに、新たな困難が生まれていることに気づかされた。

■遊びに誘われるのが怖い

治療は通院か入院だが、私が聞いたケースでは学校にはまだ行ってない状態だった。いずれの親も症状が改善したとき、学校に行かせるのがとても不安だと言っていた。

学校に行けば仲の良かった子たちが、きっと遊びに誘ってくれる。それはありがたいことだけど、ネットやゲームの大好きな子がほとんどで、何の悪気もなくスマホやゲーム機での遊びに誘うことは目に見えている。

治療中は、どの子もネット・ゲーム完全遮断の状態。
家庭のWiFiは外し、ゲーム機の撤去や子どものスマホの解約はもちろん、自身もガラケーに変えた親、スマホを車に載せたままで家に持ち込まない親もいた。
スマホやタブレット、ゲーム機に触らせるのはもちろん、人が触っているのを見られるのも怖いそうだ。

治療に入って数週間経った頃、親の部屋の棚の奥にあったタブレットを見つけた子がいた。憑かれたようにいじり始め、ネットに繋がらないことに気づくとタブレットを床に叩きつけ、猛然と暴れ出したとのこと。数週間の治療が無駄になってしまうらしい。

アルコール依存症の患者が、少しアルコールを口にしただけで症状が戻ってしまうのと同じだ。「冗談でも飲みに誘うのはやめてくれ」と依存症治療の専門家は言う。

かなりひどいネット・ゲーム依存症の小中学生は、1~2%程度はいると推測する。1~2クラスに一人くらい。今は、治療に掛かれずひきこもった状態の子が多いが、疾病認定を契機に治療拠点が広がり実績が上がってくるだろう。
そして、無事学校に戻って来られる子も増える。

そのとき、上記の問題が起きてくる。
全国どこの学校、どこのクラスでも起きる。
そのとき、子どもたちは仲間のためにどうするのか。教師はクラスの子どもたちにどう対応するのか。保護者は我が子のため、我が子の友人のためどうするのか。
この問題を子ども、教師、保護者それぞれに考える機会を作っていきたいと思う。

■一人1台端末が怖い

もう一つ、投げかけられた困難。

小中学校にICT活用教育として一人1台タブレットやパソコンが与えられるというニュースに、強い不安を感じている親がいた。
我が子が、タブレットを見るだけで、症状が戻ってしまうかもしれない。先生に止められてもタブレットを触り続け、制限でゲームができないと成れば暴れ出すのではないか。そうなると、もう学校には行けない。
ひょっとすると、治療の日々を思い出し耐えてくれるかもしれない。でも、それは残酷な忍耐だ。
そんな不安を訴えていた。

今、ICT活用教育を推進している人たちは、「一人ひとりの個性に合わせた教育ができる」という理想を描いているようだ。
この現実をどう考えるのか?
対策は考えているのか?

それとも学習に不適合な児童・生徒として分離するのか?
少し時間を取って考えて欲しい。

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